GMも「脅威と確信」グーグルの自動運転車が描く震撼の未来像

5月28日、米グーグル社がハンドルもアクセルもブレーキもない自動車のプロトタイプを公開した。つまり、センサーとソフトウェアで完全に自立走行するまさに“自動”車だ。

公開されたプロトタイプは2人乗りの小型電気自動車。シートが二人分と、持ち物を収納できるスペースもある。スタートボタンとストップボタン、それに地図を表示する画面があるだけというシンプルな内装だ。

グーグル自動運転車プロトタイプ

同社の共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏は自ら試乗し、「私は乗ってすぐに電子メールを始めてしまったので、車に乗っていることを忘れていた」と感想を語っている。

プロトタイプでは市街地での利用を想定し、時速25マイル(40キロ)の制限を設定してあるが、安全性が確認でき次第、100マイルまで上げることができるという。

搭載しているセンサーは車の周囲360度を確認している。そのため、混雑時などは人間の注意力より優れた状況判断をするのかもしれない。

また、物体認識は、フットボール競技場2面以上先の距離に有るものまで検知できるという。通行人などの路上利用者を回避する機能も備わっている。

開発の経緯

グーグルがこの自立走行する自動車の開発に着手したのは2009年で、世界で年間120万人にのぼる交通事故の犠牲者を半減することと、自動車の移動時の有効活用を目標に掲げていた。

そしてこの研究のために用意した開発チームには、カーネギーメロン大学やスタンフォード大学からDARPA(米国防総省高等研究計画局)主催の自動運転車の競争で優勝した経験のある優秀な研究者をスカウトしている。

開発は単独ではなく、自動車部品サプライヤーや自動車メーカーとも協力しているという。そのため、将来の生産や販売についても提携先と協力する意向であることを述べている。

ただ、これまでの研究では車両はトヨタ自動車のプリウスやレクサスRXを改造して利用していたが、今回のプロトタイプは初めてグーグルが一から開発したという。

改造車では既に地球を28周するほどの距離を走らせてきた。

開発責任者のクリス・アームソン氏が言うには、市街地での自動運転は高速道路の100倍難しそうだ。たしかに道の形状は複雑で有り、障害物や人、自転車など注意せねばならない対象が多い。

しかしこのプロトタイプは、見事にカリフォルニア州の市街地で安全に走行してみせた。

グーグルの目標

グーグルでは、今回公開したプロトタイプを向こう2年間で100台ほど生産して、カリフォルニア州で小規模な試験運用を開始したい意向を示している。この試験運用では、マニュアル制御付きモデルとなるようだ。

そして実用化は2020年を目指すとしているから、日本で東京オリンピックが開催されている年には、米国の一部ではもう実用化されている可能性がある。

自動車が進化する先は

このグーグルの動きに対し、米ゼネラル・モーターズの製品開発責任者であるマーク・ロイス氏は、「非常に深刻な競争上の脅威」になることを確信していると述べている。

トヨタや日産自動車などの日本勢も、自動運転車の開発は行っているため、グーグルとは競合関係か協力関係のいずれかになるであろう。

しかし自動運転車の実用化については、技術だけの問題では無く法律上の障壁があるのではないか、と思われるかもしれない。

それは案外障壁にならないかもしれない。既に米国ではカリフォルニア州、ネバダ州、フロリダ州が自動走行車両の公道での運転を許可する法律が施行されているのだ。但し、緊急時に人間が操作できることという条件がある。

セルゲイ・ブリン氏は、このプロジェクトが世界と自分の周りのコミュニティーを変えることが出来ると、期待に満ちたコメントを出している。

*画像:Official Google Blog: Just press go: designing a self-driving vehicle