世界初「感情認識ロボット」を発売するソフトバンクの思惑は

6月5日、ソフトバンクモバイルはロボット事業への参入を発表した。第一弾として世界初となる感情認識機能を搭載したパーソナルロボットを、2015年2月に一般向けに発売することも発表した。

発表されたロボットは「Pepper(ペッパー)」という名の人型ロボットだ。仏アルデバラン・ロボティクスとの共同開発で、製造は台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に委託する。

まずは一般発売より先駆けて、ソフトバンク銀座店と表参道店での接客業務で活躍する。

孫正義社長はPepperについて、「まずは日本から始め、いろいろな機能がこなれたら、近い将来、世界展開していきたい」と語る。

ソフトバンクがロボット事業に意欲を示していたことは既に示されていた。2010年6月には新30年ビジョンとして「知的ロボットとの共存」を掲げていたからだ。

また、2012年には今回Pepperを共同開発した仏アルデバランに出資し、2013年にはロボット事業を手がける会社を設立していた。

Pepper

ロボットに感情をインストールする日

孫正義社長は「ロボット史上初めて、感情や心を与えることになった」と語る。

またアルデバランのブルーノ・メゾニエCEOは「まだSF映画の中のロボットのようにはいかない。しかし今日から現実になった」とPepperの革新性について語った。

上記で両氏が強調するように、Pepperの特徴は感情認識機能を搭載したロボットであることで、人とのコミュニケーションを図れることだ。

Pepperの頭脳や心(?)は本体にあるわけではない。クラウド上のデータセンターにある。

そのためPepperの学習速度は速い。つまり、店頭や家庭に分散したPepperたちがそれぞれ学んだ知見が、Wi-Fiで接続されたインターネットを経由して、クラウド上に蓄積されていくのだ。

そしてクラウド上に蓄積されたコミュニケーションスキルが、各Pepperにフィードバックされる。

また、この自己学習によるスキルアップ以外にも、Pepperの機能を拡張できる「ロボアプリ」のSDKも配布されるため、多くの開発者がPepperをアップデートしていく仕組みが用意されている。

Pepperの頭頂部には4つのマイクが搭載されているので、話しかけてきた人間の位置を検知出来る。さらに額に2つ搭載されたカメラでは相手の顔を認識できる。

また、3Dセンサーが1つと、タッチセンサーが3つ搭載されており、これらを使って物体を認識できる。

他にもジャイロセンサー1つ、ソナーセンサー2つ、レーザーセンサー6つ、バンパーセンサー3つなど、多くのセンサーがPepperを制御している。

頭や肩、肘、手首、手、腰、膝の動きもなめらかで、全身に組み込まれたモーターは20個ある。

胸部にあるタッチディスプレイは、Pepperの感情を表したり、様々なコンテンツを表示する。

Pepper(ペッパー)登場   特集   ロボット   ソフトバンク

人型ロボットをパソコン並みの価格にする

さて、Pepperの値段だが、いくらだろうか。実はこれが驚くほど安い。

一般家庭向けを想定しているため、19万8000円(税別)が予定されている。「パソコンと同じ程度の値段で買えることに力点を置いた」というのが孫正義社長の根拠だ。

しかし、この価格では採算が取れないだろう。このことについても同社長は「利益はすぐには出ないが、将来的に量産するようになればビジネスとして成り立つ」と語っている。

では何処で買えるのかというと、ソフトバンクのオンラインストアやショップでの販売が予定されている。

簡単にスペックを記載しておくと以下の通り。

・サイズ:1210mm(高さ)×425mm(奥行)×485mm(幅)

・重量:28kg

・駆動時間:12時間以上(ショップで利用した想定)

・移動速度:時速3km

・無線通信:IEEE 802.11 a/b/g/n(2.4GHz/5GHz)

・有線通信:イーサネットポート1000base T×1

日本のロボット産業規模とソフトバンクの狙い

経済産業省が2013年7月に公表したところによれば、日本のロボット産業の市場規模は拡大していくという予想で、2012年は約8,600億円だったが、2020年には2.8兆円、2035年には9.7兆円が見込まれているという成長産業だ。

BBCやロイターは、日本でのロボット市場の拡大を、少子高齢化と関連づけて注目している。

少子高齢化による労働力の減少や、それによる賃金コスト上昇を抑えるためにロボットの需要が拡大するだろうと予想しているのだ。

また、高齢者の介護を補助するためにもロボットが必要とされるであろうとも予想している。

一方、ソフトバンクがPepperに与えた最初の任務は、ソフトバンクショップでの接客業務だ。30分に1度はダンスなども行うが、基本的には来店者とのフリートークが仕事となる。

つまり、Pepperが客寄せにも一役買うことが期待されている。

確かにロボット産業は、有望だと思える。

*画像出典:Pepper(ペッパー)登場 | 特集 | ロボット | ソフトバンク