最貧困地帯の未来を変えるNPO「コペルニク」から学べること

途上国や貧困問題に取り組む団体は数多くあるが、その中でも斬新なアイデアと強い信頼関係で目覚しい結果を生み出しているNPOがある。それがインドネシア・バリ島に拠点を構えるコペルニクだ。

多くの人々を巻き込み、その地域に本当に必要なモノを届け、生活の変化を追跡する。言葉にすると簡単なように聞こえることだが、これを実行することはとても難しい。

「どこに」「なにを」「いくらで」「どれだけ」「どのように」届けたら効果的なのかを知ることだけですら、膨大な手間がかかるからだ。

さらにはそれが「どんな」使われ方をし「どれくらいの」生活改善をもたらし、いったい「どう」未来を変えていくのか・・・。多くのNPOでは、そんなところまでは関知しない。

しかし、そこまで追跡することにより初めて彼らの生活に関与した意味があり、携わった人々にも意義があると言えるだろう。

そんな”援助業界”の常識を180度転回させるコペルニクを紹介しよう。

人をつなぐ「最貧困層~地元NPO~コペルニク」

コペルニクの活動は”人をつなぐ”ことから始まる。これまでの途上国援助は、半ば一方的に”先進国側の感覚”で援助が為されてきた。

「井戸が必要だ、電気が必要だ、学校が必要だ」

確かにそれらは必要だが、コストもかかる上、作ったとしてもそれが”思惑通り”使われるとも限らない。往々にして一部の有力者が独占してしまったり、メンテナンスが面倒ですぐに使われなくなったりしてしまうのが現実だ。

ではどうするか?

コペルニクはそこから始まった。コストのかかる一点集中型事業よりも、誰にでも広く行き渡るローコストのモノを届けたい。そしてそれは誰にでも日常的に使えるローテクのモノでなければいけない。しかも最も効果を生む形で。

まずコペルニクは、最貧困層と最も近いところで活動している地元NPOと信頼関係を築くことから始めた。突然海外のNPOなど”よそ者”がやって来ても、貧困の中で暮らす彼らは”本音”を語りはしない。というより、彼ら自身”何に困っている”のかすらわからないのだ。

地元NPOはそんな彼らと時間をかけて協議し、”何があったら何が変わるのか”を理解し合う。そして”そのモノにいくら払うか”を決める。コペルニクは決して”ただ”では届けない。完全に援助してしまうと、結果的にその行為は無駄になってしまうからだ。

人をつなぐ「最貧困層~コペルニク~企業」

しかし”必要なモノ”と言っても、それがどんなモノであるのか最初は誰にもわからない。本人たちすらわからない。企業や研究機関はさまざまな技術を持っているが、残念なことにそれらは最貧困層の視点では作られていない。彼らの生活に合っていなかったり、高機能過ぎて難しかったり、そもそも値段が高すぎて手が届かなかったり・・・

そこでコペルニクは実際に製品を現地で彼らに使ってもらい、そこから得られた問題点をもとに製造者たちと試行錯誤を重ねた。

例えば調理用コンロ。最貧困地域ではガスや電気が無いため、毎日の調理に多くの薪を使う。これは森林破壊につながるだけでなく、立ち篭める煙による健康被害ももたらしている。ではどうしたらいいのか?

少ない薪で効率よく熱を発生させ、それを逃がさぬように調理できれば良い。

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こうして生まれたコンロは、80%もの薪を削減し、有害な煙もほとんど出さず、調理時間も大幅に短縮させることに成功した。政府や国際援助機関が時間とお金をかけてガスを整備するよりも、遥かに短時間かつ低予算で彼らの生活はドラスティックに改善するのだ。

そして、こういった世界の大半を占める貧困層へ直接届くモノを作りたいと考える技術者は思いのほか多く、コペルニクには世界の名だたる大企業の研究者から様々な提案が届く。

人は、何かを変えずにはいられないという性分があるのだろう。

*参考:コペルニク – 途上国の人々に届けます。