長崎県の離島で始まる世界最大のエコ&地域活性化プロジェクト

長崎県佐世保市に、宇久島(うくじま)という離島がある。九州本島の西側にある五島列島の最北に位置する島だ。人口は2200人で、主な産業は農業と、畜産業、漁業だ。ご多分に漏れず、若年層の流出という問題を抱えている。

そんな過疎化が進む離島が脚光を浴びている。「宇久島メガソーラーパーク」の計画が注目されているのだ。

この計画では、島の面積の約4分の1に当たる630万平方メートルの土地──良くある喩えでいうと東京ドーム約134個分──に、172万枚の太陽光パネルを設置するという計画だ。

それもただのメガソーラーではなく、太陽光パネルを高い位置に設置することで、その下の土地は農地として利用するという「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」を実現しようとしているからだ。

しかもこの計画は、ソーラーシェアリングとしては、世界最大規模を目指しているのだ。

ソーラーシェアリング

世界最大のソーラーシェアリング

宇久島に世界最大規模のソーラーシェアリングを計画したのは、独フォトボルト・デベロップメント・パートナーズ(Photovolt Development Partners:PVDP)で、他に京セラ、九電工、オリックス、みずほ銀行が計画推進協力において基本合意したことを6月12日に発表した。

PVDPはドイツの太陽光発電事業者で、既にドイツやイタリア、スペインでは13のメガソーラーを建設した実績がある。

宇久島に計画しているソーラーシェアリングでは、年間5億kwhの発電量を想定しており、これは一般家庭約14万世帯分の電力使用量に相当するとされている。

14万世帯というと、長崎県の4分の1にあたる。この発電された電力は海底ケーブルを使って九州本島に送られる。これを九州電力が固定価格買取制度に基づいて購入するため、年間で200億円の売電収入が得られる見込みだ。

この世界最大級のソーラーシェアリングの出力は、中型の火力発電所1基分に相当する。

実際にプロジェクトを進めるのは、PVDPを中心に京セラ、九電工、オリックスが出資予定している「テラソール合同会社」となる。そしてみずほ銀行がプロジェクトファイナンスによる資金調達を担当する予定だ。

総事業費は1,500億円が見込まれている。使用される太陽電池は全て京セラ製多結晶シリコン型の高出力モジュールで、海底ケーブルは約60kmとなる。

建設工事は2015年度に開始予定とされているが、実際にはまだ地元自治体や関係者との協議が必要となる。

ソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングは離島を活性化させられるか

宇久島のソーラーシェアリングで得られた利益の一部は同島の農家に還元されるという。

また、このプロジェクトは、年間約25万2,200tのCO2削減に貢献することで地球環境保護に貢献し、宇久島の経済活性化にも寄与できるとされている。

ソーラーシェアリングであることから、太陽光発電設備は農地の上部空間に設置されるため、営農は可能なのだ。事業用地の交渉を行う「宇久島メガソーラーパークサービス(UMSPS)」が畜産農家に農作業を委託し、資金面でもテラソール合同会社が畜産農家に支援を行う。

このような仕組みでソーラーシェアリングが、地球温暖化防止と離島の地域振興に大きな貢献ができるのではないかと注目されている。

*2枚目の画像:一般社団法人 ソーラーシェアリング協会