「サステナビリティ」の意味を知ったかぶりで済ましてない?

私は、もともとは土木エンジニアである。子どもの頃から草花摘みや川遊びが好きで、シンクタンクの研究員となった今では、企業の環境経営やCSR(企業の社会的責任)経営を研究テーマとしている。

研究のキーワードはサステナビリティである。研究では企業を対象としているが、このコラムでは企業に勤める人々を含めて、個人のサステナビリティにかかわる価値観に焦点を当ててみたい。

持続可能性

それは、地球上に住む人類の未来は、現在を生きる人々の価値観に強く依存することが分かってきたからである。サステナビリティは選挙に似ているように思う。選挙結果は投票者の総意を反映するが、地球と社会のサステナビリティも人々の価値観の総意次第だからである。

そもそもサステナビリティとは

サステナビリティは「持続可能性」と訳されるが、何を意味するのだろうか。直訳すれば、「将来にわたり保ち続けることができる」となる。では、何を保ち続けるのか。それは、人類が祖先から受け継いできた地球環境、そしてこれまで作り上げた文明社会である。

現代社会は、「今が良ければ、それでいいんだ」という短期志向に陥っているようにも見える。経済のグローバル化を背景に投資家や企業経営者が、人々のマインドを急き立てているのかも知れない。

このままではもたない地球と人類?

ここで視点を変えて、「桑名のハマグリ」のことを紹介したい。

江戸時代から有名だった焼きハマグリだが、実は20年ほど前には絶滅の危機に瀕していた。木曽三川が伊勢湾に流れ込む河口は干潟が発達し、ハマグリには絶好の生育環境だったが、1970年前後をピークに漁獲量は急減したのである。干拓事業や水質悪化などが原因と言われている。

そこで、地元の赤須賀漁協は桑名市と協働で、新しい生産方法を開発し、人工干潟も造成した。

そして、地道に稚貝を放流し続け、一方で一日の漁獲量を定め、小型の貝は海に戻すという決まりを作ったのである。最近になって、ようやく復活の兆しが見えてきた。これは、今を守り次世代につなぐ、まさにサステナビリティ・マインドに溢れた素晴らしい地域レベルの取組である。

サステナビリティ・マインドを育む取組

サステナビリティ・マインドは、体中のあらゆる器官に変化する万能細胞に例えることができる。つまり、人々にサステナビリティ・マインドがあれば、どのような職業や役職に就こうと、どのような生活をしようと、それぞれの場でサステナブルな意思決定と行動をすることになる。

持続可能な地球と社会を実現するには、人々の心にサステナビリティ・マインドをいかに育むかが重要となる。

そこで、これからの記事では、サステナビリティ・マインドを育む様々な取組を紹介し、それが人々の価値観やライフスタイルにどう影響するのかも考えてみたいと思う。