2030年までにカーボンフリー社会を目指す韓国・済州島の挑戦

福岡から僅か250km、日本から最も近い海外リゾートである韓国・済州島。かつては韓国本土から差別され、低経済に喘ぐ時代が続いた。しかし90年代より独自の改革が進み、21世紀の始まりとともに島全体が壮大な実験都市として歩みだす。

世界に先駆ける、カーボンフリー社会実現の島を目指して。

韓国・済州島

太陽と風の島、済州島

照りつける太陽と止むことのない風。「韓国のハワイ」と呼ばれる済州島は、その景色もまさに南国そのもの。新婚旅行先として国内不動の地位を得ているこの島は、長らく観光業と漁業(海女漁)だけが主な産業だった。

80年代に入ると高度成長に沸く本土の経済から完全に取り残され、この美しい島は韓国経済の”お荷物”へ・・・。

離島であるゆえ大規模な製造業は行えない。しかし、韓国経済の発展と共にそれなりに生活水準は上がってくるので、エネルギー輸入と支出ばかりが増えていく。

島内で消費するエネルギーを全て本土からの輸送に頼っていては、島が自立する未来は永遠にやって来ないだろう。日韓W杯で沸く2002年、ついに済州島は未来へ向けて大きく舵を切った。

済洲国際自由都市特別法の施行である。

憲法と外交権と軍隊以外は独自の権限を有するという強力な行政権を得た済州島は、大胆な政策を大きなスケールで、尚且迅速に進めていく。

その中心となるのはエネルギーの自立。島内で消費される全ての電力を2030年までに再生可能エネルギーで賄い、カーボンフリー社会を実現しようというのだ。

ICCjeju 駐車場と壁面パネル

目標実現への本気度

医療や教育など高度な知的産業を積極的に海外から誘致し、観光業から得られる独自の税収を使い、済州特別自治政府はエネルギー政策を強力に推し進めた。

太陽光と風力発電を中心に、バイオマス、地熱、海洋エネルギーなどを使い電力を生産し、島民55万人の生活と年間観光客500万人を迎え入れ、島内を走る自動車37万台も全て電気自動車EVに置き換えるという。

島の周囲が150kmほどの済州島なら、EV最大の欠点”走行距離”も問題にならないだろう。

これだけの規模でスマートグリッド社会を実現させようと動いている事例は、世界でも類を見ない。しかし、果たして実現可能なのだろうか?

カーボンフリーのモデル島、カバド

この壮大な実験に先立って、モデルケースとして一足先にカーボンフリー社会の実現に成功した小さな島がある。

人口800人弱の”海女の島”として有名な加波島(カパド)だ。

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海にへばりつくように浮かぶこの島では、風が強すぎて大きな木が育たない。島全体を覆う青い麦畑と、小さな漁村だけの島。

照りつける太陽と吹き付ける強風を遮るようにして、太陽光パネルは設置されていた。光を遮るものが全く無いこの島では、大きな太陽光パネルは欠かせない。

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ガパド 家々

海に向かってそびえ立つ二本の巨大な風車はこの島のシンボルであり、ほとんど止むことのない風のおかげで島の電力は安定的に供給される。まさに環境に適したシステムと言える。

ガパド 風力発電

豊かな自然環境と調和した風景が美しい。それはまるで”ハイテクノロジーと自然との共生”の理想形を見るようだ。ゆっくりとした気持ちのいい時間が、風と共に流れてゆく。

カパドでの成功は、済州島にも明るい未来をもたらしてくれるのだろうか?実に楽しみだ。