韓国「済州島」は国際教育ハブ都市を目指し北東アジアの中心へ

2002年に国際自由都市化を宣言した韓国南部の島、済州島。その心臓部として急ピッチで建設が進むのが”済州国際教育都市JGEC”だ。

済州島を囲むように位置する韓国・日本・中国・台湾の北東アジア地域は、そこだけで世界のGNI(国民総所得)の22%をも占める。その巨大経済圏の中心に位置するという地の利を生かし、名門寄宿学校を数多く誘致し、世界トップクラスの教育環境を整備。もちろん都市内での公用語は英語とする。

世界中から子供たちが集まり、そしてまた世界中へと旅立つ。済州島が目指すのは、北東アジアの未来の国際教育ハブ都市だ。

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国際教育都市への道

済州島が国際教育都市を目指すことになった背景には、韓国特有の事情もある。韓国では留学熱が非常に高く、小学生から大学院生まで、海外留学をする韓国人は約400万人。これがどれだけ凄い数字なのかは、日本のそれと比べてみると一目瞭然だ。

日本人、およそ6万数千人・・・

日本の半分の人口でこれだけの数が海外へと向かい、しかも優秀な学生ほどそのまま帰って来ない。頭脳流出に頭を痛めていた韓国政府は、国内保守層との摩擦が避けられる済州島という”僻地”に実験都市の建設を決定した。

2014年夏の時点で既に開校している学校は、KIS(韓国インターナショナルスクール)、NLCS JEJU(ノースロンドン・カレッジエイトスクール済州島校)、BHA(ブランクサムホール・アジア)の3校。

2015年秋にはアメリカの老舗名門校St. Johnsburyの開校が予定されており、2020年までには計9校が出揃う。もちろん総合大学や単科大学の誘致も進んでおり、将来JGECは世界有数の国際教育拠点となることだろう。

またこの計画は、済州島が目指す2030年までのカーボンフリー社会実現計画の一環でもあるため、学校設計にもサスティナビリティの精神が盛り込まれている。
KISは基本的には韓国人生徒向けの学校なので、残りの二つを紹介したい。

英国屈指の名門校NLCS

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英国において初めて女子への学校教育を行ったNLCSは、数多くある名門校の中でも最上位の成績を誇る名門女子校だ。IB(国際バカロレア)でも、Aレベル(イギリス大学検定試験)でも常に英国トップクラス。

女子校である本校と異なりこちらは共学校で、幼稚園から高校生までが学ぶ。

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敷地は広大で、とてもオープンな雰囲気だ。名門校という堅苦しいイメージとは対照的で、寮生の暮らしぶりも充実している。多くの生徒が早朝から水泳、テニス、ゴルフなどを楽しむという。

2014年の春に卒業第一期生の進路が公表されたが、一年目からオックスフォードやケンブリッジの名が連なっていることには驚く。中には、アジア屈指の超難関リベラルアーツ、シンガポールのYale-NUSと両方合格した女子生徒も。彼女はまずシンガポールで2年学んだ後オックスフォードへ渡るのだと語る。

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この学校で使用されるエネルギーの30~40%は太陽光発電によって賄われている。既に済州島の電力の半分は再生可能エネルギーによって発電されているので、約70%はカーボンフリーが達成されている計算だ。

カナダ屈指の名門校BHA

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BHAはカナダ・トロントに本校を持つ。こちらもカナダ屈指の名門校だ。卒業生の多くは北米の名門大学へと進学する。本校同様済州島校も女子校で、アートやスポーツにも力を入れる創造性溢れる校風だ。

特筆すべきは、やはりスポーツ施設。オリンピック規格のプールやゴルフの練習場。そしてカナダと韓国のコラボだけに、素晴らしいスケートリンクも完備。ここで世界大会も開催できるほどだ。

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校舎の建築様式も斬新だ。円筒状の校舎は天井まで吹き抜けになっており、その周囲に教室が配置されている。そして天井へ向かって巨大なキノコ状の柱がそびえ立つ。

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校舎の屋根に降った雨はこの巨大キノコで集められ、地下の貯水タンクへと運ばれる。そこで濾過された水は、トイレ用水になったり草木に散水される。大きな川が無い済州島では、水は非常に貴重なのだ。

各学校がエコロジーやサスティナビリティを考えたユニークな取り組みを行う済州島。エネルギー分野でも教育分野でも、済州島は本気で北東アジアの”センター”を狙っている。