テスラが急速充電ステーション網を独自に構築する意外なワケ

電気自動車のイノベーターであるテスラモーターズ。彼らは、2014年7月10日の公式ブログにおいて、北米のテスラ独自の充電施設「スーパーチャージステーション」が100か所に達したことを公表した。

テスラ「スーパーチャージステーション」

電気自動車の充電は、自宅で行うのが基本になる。スマートフォンの充電をイメージすればいいだろう。しかし、外出先で追加の充電が必要になるときもある。そうした充電ステーションの存在が、電気自動車の普及には不可欠なものだ。

しかし、テスラのように自前の充電網を構築しようというケースはマレだ。日本は、チャデモという方式を、自動車メーカーや充電器メーカーなどが共同で普及している。欧米の自動車メーカーは、日本とは異なるコンボ方式を推進。そして充電方式を巡って、欧米ではチャデモVSコンボという図式で、普及を競っている状況なのだ。ちなみに、北米におけるチャデモの設置数は633か所(2014年7月2日時点)もある。

そうした世界中の巨大な自動車メーカーが戦う充電器のフォーマット争いにテスラモーターズは「スーパーチャージステーション」を持って孤独な戦いを挑んでいるのだ。

 スーパーチャージステーションとは

テスラモーターズの「スーパーチャージステーション」は、スタイリッシュな外観だけでなく、大きな出力性能が備わっている。なんと、その最大出力は120kW。日本のチャデモに限らず、欧米のコンボも、その急速充電器の出力は10~50kW程度が中心だ。つまり、テスラの急速充電「スーパーチャージステーション」は、その何倍もの出力がある。

なぜ、このような強力な急速充電器が必要かといえば、それはテスラのクルマのコンセプトに理由がある。テスラの主力モデルである「モデルS」が搭載するバッテリーは、60kWh(もしくは85kWh)もある。日産のリーフが24kWhであり、旧来の自動車メーカーがリリースする電気自動車の多くは、リーフ同様の電池しか搭載していない。つまり、テスラの電気自動車は、他メーカーよりもバッテリーをたくさん積んでいる。

テスラの電気自動車に必要なこと

それが何を意味するのか?というと、バッテリー容量が大きいだけ充電にも時間が長く必要ということ。つまり、他メーカーと同じ急速充電器を使っていると、テスラ車は、バッテリーが大きい分、他よりも充電に時間がかかってしまうのだ。

それを解決する方法が「スーパーチャージステーション」だったのだ。

出力が大きければ、それだけ短い時間で急速充電が可能となる。テスラの公式リリースによると「20分で半分以上充電できる」「40分で80%」となる。20分で半分ならば、チャデモを利用した日産リーフと、それほど変わらない。

また、大きなバッテリーを搭載するだけテスラの電気自動車の一充填あたりの航続距離は長い(モデルSで約500km)。行動範囲が広い分、急速充電ステーションの数が少なくてもなんとかなる。テスラは2015年には北米の人口の98%までをカバーする(100マイル/160km内にステーションが存在する)予定だというのだ。

テスラの充電ステーション

1社のみで急速充電ステーション網を構築しようというのは、どう見ても困難なチャレンジだ。しかし、テスラモーターズであれば、なぜか奇跡を起こしてしまいそうに思えてしまう。電気自動車のイノベーターの動向は、やはり目が離せない!

*参考:Supercharger | Tesla Motors