AP通信がニュース記事にロボット記者採用でライターは戦々恐々?

AP通信は7月7日、広報担当者を通じて、一部の記事作成にコンピュータープログラムを採用することを発表した。

その一部の記事とは、米企業の決算記事だ。現在は既に自動生成された記事で報道されているはずだ。

AP通信がロボット記者導入

この「ロボット記者」の能力によって、現在四半期当たり300本作成されている記事を、一気に約10倍以上の4,400本に増やせるという。

ロボット記者の仕事は、複数の証券会社から投資家向けに提供された調査報告書が集積されたデータベースを元に、瞬時で150~300字の記事を作成することである。

コンピュータが企業情報を解析して記事化

AP通信がロボット記者として採用したアルゴリズムは、同社が出資しているベンチャー企業のオートメーテッド・インサイツ(Automated Insights)社が開発したものだ。

同社は自然言語解析・作成ソフトを開発しており、既に財務レポートやフットボールの要約記事など、3億以上の文章を自動生成したという実績がある。

今回ロボット記者が担当する決算記事は、実は人間の記者にはかなり負荷が掛かっていた。単純作業が多い上に、より精確であることが必要とされているためだ。

そこで、ロボット記者であれば、単純労働で疲れたり質が落ちたりする事はないし、情報を正確に伝達できることが期待されたのだ。

狙いは人減らしではなく、より人らしい仕事をするため

ただ、ロボット記者が採用されたからと言って、それはAP通信が人減らしを始めたということではないという。

むしろ人間の記者を単純作業から開放して、より高度な記事の作成に投入したいということが目的だとしている。

同社の経済ニュース担当幹部は、人間の記者には「もっと頭と時間を使う」特ダネや分析力が必要な記事作成に従事させたいと説明している。

そうは言っても止まらないロボット記者の普及

この度のAP通信では、ロボット記者の採用は人減らしではないことが説明された。しかしもう少し調べてみると、人間の記者にとっては緊張せざるを得ない状況であることが分かる。

今回AP通信にロボット記者を提供したオートメーテッド・インサイツ社のスコット・フレデリックCOOは、今後1~2年の間に、報道業界の会社はいずれもロボット記者を必要とするであろう、と語っている。

例えばナラティブ・サイエンス(Narrativescience)社にも同様のアルゴリズムを使用した財務報告書やスポーツ記事作成の実績があり、経済誌のフォーブスにエンジンを提供している。

ニューヨーク・タイムズでも結婚報告などの記事は自動化しているというし、ロサンゼルス・タイムズの地震速報記事やスポーツ記事の一部は既に自動化されている。

Wikipediaの記事もロボットが作成?

日常生活の小さな疑問解決などを助けてくれるのがWikipediaだが、実はこのWikipediaにたった一人で270万件もの記事を投稿した人物がいる。

わずか7年で達成した270万記事だが、多いときには1日で1万件を投稿したこともあるという。

その人物はSverker Johansson氏というスウェーデンのダーラルナ大学で働く物理学者で、コンピューター・プログラムにより、自動的に記事を作成して投稿していたのだ。

Wikipediaの記事は人が作るべきだとして反発している人達も多いが、それらの批判に対して同氏は、Wikipediaがやがて人間にあらゆる事を教えられるようになるためには、基本情報で構わないから、より多くの記事をコンピューターで作成するべきだと主張している。

実際、人間が投稿したWikipediaの記事にはかなり偏りがある。スウェーデンのWikipediaではロード・オブ・ザ・リングのキャラクターに関しては150以上の記事があるにもかかわらず、ベトナム戦争については10人も書かないという。

そのような偏った状態も、プログラムで作成した記事によってバランスが取れるというのだ。

たしかに一理あると思える。

今回は、当方も含め、ライターは存在価値が無くなるかもしれないという、ちょっと寒気のする記事となってしまったが、改めて人間ならではの良い記事を作成しようと思わされた次第だ。

(筆者注:この記事は人間が書いています…)