トヨタの人が打ち明けるプリウスPHVの「意外な落とし穴」Vol.3

プリウスはエンジンとモーターのハイブリッド(HV)、モーターでも走ることができる車として世界で初めて市場投入したのは1997年です。エンジンにモーターをつけました、燃費がよくなってランニングコストが安くなりますよ、というので分かりやすかったです。

ーーー HVはエンジンだけでなく、モーターでも走るんだ、というのは衝撃的でした。

でもHVからPHVというのは違いを見せにくいんですね、価格、ランニングコストでの価格メリットが訴求しきれていません。

ーーー EV走行だけしているとガソリンは使いませんが、そうなると安くなりませんか。

もちろん安くなります。だから「これはEVだ、EVだ」と言っていたらEVだろうと思われて、EVとしての航続距離が26.4kmなもんだから、短すぎるとなっちゃって。

ーーー 航続距離26.4kmのEVは相当短いと思われますね。

実際はピュアEVと違ってハイブリッドだから電池切れても走れるんです。それで、EVとハイブリッド(HV)のハイブリッドになっちゃったもんだからとても分かりにくいし、説明もしにくい。

*EVでの航続可能距離 0.1kmの表示。この後エンジン始動、EVモードからHVへ自動切替

EVでの航続可能距離 0.1kmの表示

ーーー EVとハイブリッドのハイブリッド、それは混乱します。

それに売れ筋のHVがあるので販売店としても売りにくい。ハイブリッドの時みたいに従来の自動車と比べれば分かりやすかったんでしょうけど、プリウスの別のモデルとして入れたほうが分かりやすかったかもしれませんね。

ーーー 細かなところではPHVはHVと比べてバッテリーが重い分重量バランスが改善し、リアの接地感もあがって乗り味がよくなってますよね

試乗していただければより上質になったと分かるんですが、なかなか伝わりにくいですよね。

ライバルはHV・・・

一番の大きな問題は、HVの性能が良すぎるんです。PHVの説明をする以前の問題で、差が出にくいんですよね。だからといって、HVの性能を下げるわけにもいかないから、困っちゃった。ライバルは身内、HVなんです。

ーーー 燃費競争が激化してますから、HVもどんどん性能が上がってますね。

環境車は普及してこそ環境への貢献、とトヨタでは考えています。ですからプリウスもお手頃な価格設定となっています。PHVのEV航続距離は現在26.4kmですが、これを60kmや80kmにしようと思えば電池容量を大きくするだけですから、可能なんです。

ーーー その分値段があがりませんか?

コストが上がって販売価格に跳ねかえってしまうと意味がない。ではそのコストをメーカーがかぶって安売りしよう、ということもできなくはありません。ただその大きな電池に蓄えられている電気がどこから来ているのか、いつも満タンにしていたらそのエネルギーは無駄にならないのか、と自分は考えちゃうわけです。

ーーー ここでも環境と効率を大事にされているんですね。

それに電気を入れっぱなしにした電池は劣化してしまいますからね。電池は大切に扱わないといけません。

プリウスPHV充電口

航続距離と手間・・・

HVなら燃費がいいので1〜2ヵ月に1回しかガソリンスタンドにいかなくて済みますが、毎日20kmくらい通勤で走るひとがPHVでEV走行したい場合は、毎日充電しなければなりません。クルマに充電する、というのが手間なんですね。むやみに距離を延ばしたいわけではないですが、伸ばした方が利便性があがります。ここは環境とのせめぎあいです。

ーーー どれくらいの距離ならいいのでしょう。

最適値がいくつか、というのは効率とも関係しますが、地域によっても変わります。例えばブータンでは電気はすべて水力発電で、ガソリンは輸入で高い。そういうところはより電気でカバーしたいですね。今の26.4kmというのは効率優先で割り出したものなので、電池が進化すれば伸ばしていけるものです。地域に最適な距離を割り出していきますが、だいたい30〜50kmくらいになるのではないかと考えています。

ーーー 他に充電の手間を下げる方法はありませんか?

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