圏外でもスマホ同士でメッセージ可能な「アンテナ」が導く未来

スマートフォン最大の敵は電池切れ。次の敵は「圏外」だろう。

あるいは混雑した場所に行くと圏外でなくてもなかなかつながらない。アンテナの立っていない山間部や、イベント会場などで困った経験があるひとも多いはずだ。また災害などでアンテナや基地局が故障した場合も、当然つながらない。

しかし、そんな状況でもメールを送ったり自分の位置情報を知らせることができるデバイスがある。もちろんWiFiも使えない場所でだ。そんなバカなことがあるだろうか? スマートフォンがインターネットに接続できない状況なのに。

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ここで紹介するgoTennaというアイテムがそれだ。このgoTennaは、Bluetoothによってスマートフォンと通信することができる。スマートフォンには専用のアプリをあらかじめ入れておき、goTennaの約6m以内で使う必要がある。

スマートフォンでメッセージを打つと、そのメッセージはgoTennaに送られる。そしてgoTennaは、VHFの151ー154MHzの周波数帯の電波を出して、そのメッセージを発信する。すると、メッセージの受け手のgoTennaがそのメッセージを受け取り、受け手のスマートフォンに送るというものだ。災害時や遭難時、イベントで同行者とはぐれたときなどに便利だ。

下はエレベーターが止まってしまった状況を想定したやりとり。goTennaは場所も通知できる。

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goTennaのVHF電波が通信できる範囲は、こちらが1.5mの高さで相手が1.2mの高さの場合、半径数kmになる。goTennaの位置が高ければ、もっと遠くまで電波が届く。途中にBluetoothを介するとはいえ、昔ながらのトランシーバーの原理に近い。

普及すれば電話網とは異なるネットワークが構築される

また、送り手のgoTennaと受け手のgoTennaは直接通信する必要はない。受信圏内にほかのユーザーのgoTennaがあれば、そのgoTennaが中継してくれるからだ。そうすれば、インターネットの電波に頼らずに、メッセージを送ることができてしまうのだ。

じつはこれまでも、サーバーを介さないで通信する方法というのはあった。iOSでは、iOS7からMultipeer Connectivityというフレームワークが搭載されている。これは、WiFiやBluetoothを使った近距離の通信で、WiFiや携帯電話のネットワークに接続しなくても通信することができる。

このMultipeer Connectivityを使ったFireChatというアプリも出ていて、一部で話題になっている。同様に、Bluetoothを使った近距離通信でチャットを楽しむAndroid用アプリ、ココツーというものも存在する。

このgoTennaがそれらと異なるのは、外部デバイス自身が独自の電波を発信するという点だ。これによってけっして近距離ではないレンジでの通信が、携帯電話のネットワークに頼らずに可能になる。

ただし、通信できる範囲内にgoTennaがなければ無用の長物だ。したがって、あるていど普及しないかぎり役に立たない。そこはメーカーも考えていて、goTennaは2個ペアで販売される。したがって、少なくともひとりは通信できる相手ができるわけだ。

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これが広く普及すれば、携帯電話会社に通信料を払わずに通信できることになる(現在のアプリではメッセージと位置情報だけだが)。こういう通信手段が進化していくと、将来は「インターネット」にかぎらない、また別のネットワークが構築されることになるのかもしれない。

なお、goTennaの小売り価格は299.99ドルとなっているが、早期申込み者は約半額の144.99ドルで購入できるキャンペーンを行っている。商品の発送はこの秋からになるようだ。

*画像出典:goTenna