ダイムラー開発の防弾車「S600 Guard」脅威のスペック

世界各地で紛争やテロが頻発するおり、車中の要人を外敵から守る心強いクルマが存在する。

その外観は市販モデルと変わらないため、一見しただけではそれと気付き難いが、実は「防弾車」である事が多い。

Mercedes-Benz_S600_Guard

見た目に要人が乗るのに相応しいだけで無く、一目で「防弾車」と判らない外観が求められると言う。

その理由は「防弾車」と判るとVIPが乗っていると推測され、かえって標的になり易いことや、その車両の防弾能力を超えた強力な武器による攻撃を受ける可能性が有るため。

そこで「防弾車」の装甲は車体の内部に施すのが一般的となっている。

メルセデスベンツ「S600 Guard」の凄過ぎる防弾仕様

一例としてダイムラーが8月5日に発表した、新型メルセデスベンツ「Sクラス」の防弾仕様車「S600 Guard」を事例に装甲の数々を順に見ていこう。

Mercedes-Benz_S600_Guard

ダイムラー社は、他にも「Eクラス」「Mクラス」「Gクラス」に防弾仕様車を設定しており、ラインナップ中、最高峰となる「S600 Guard」では保護レベルがガラス部も含め、ドイツの防弾性能規格で最高レベルの「VR9」をクリアしている。

軍隊のライフル攻撃や手榴弾攻撃にも耐える高度な防衛性能を有しており、ボディシェル(骨格)には工場での製造段階で装甲対策が施されている。

具体的にはボディの外板と内板の空洞部分に防弾用特殊鋼を組み込んでおり、特殊なアラミド繊維などにより銃弾破片の断裂を防いでいる。

Mercedes-Benz_S600_Guard

車両前後のガラスや、ドアガラスの内部にはポリカーボネート樹脂をラミネート、適切な厚みを持たせることで、視認性と防弾性能とを両立させており、重くなったドアガラスの昇降は通常のモーターから油圧駆動に改められている。

床下の爆発物にも対応

またアンダーボディについても爆発物から乗員を守るべく、民間用途で初めて「ERV2010」とドイツの連邦捜査局の要件に適合する装甲が施されている。

その他、緊急警報システム、自動消火装置、煙や刺激性ガスの侵入から乗員を保護する緊急換気システムなどを備える。

Mercedes-Benz_S600_Guard

搭載エンジンに変更は無く、V12 6.0Lツインターボで最高出力530ps、最大トルク84.6kgmを発生、危険区域からの迅速な脱出に威力を発揮する。

最高速度は車両重量を考慮して210km/hでリミッターが作動。

車両重量増に伴い、可変ダンパー制御付きエアサスペンションやブレーキ性能を強化した大径のブレーキディスク、6ピストンブレーキキャリパーを採用。

Mercedes-Benz_S600_Guard

タイヤに損傷を受けても危険区域から30kmの範囲までの迅速な脱出を可能にする空気圧モニター付きミシュランPAXランフラットタイヤを装備。

そんな物々しい防弾仕様の一方で、インテリアは豪華装備満載のファーストクラス仕様となっている。

Mercedes-Benz_S600_Guard

ライバル車も防弾仕様モデルをラインナップ

今年1月にはアウディも防弾仕様の「A8 L セキュリティ」を発表。

Audi_A8L_Security

安倍首相が乗る総理大臣専用車、トヨタ「センチュリー」も勿論、防弾仕様。

各界の要人が乗るVIPカーにはこうした防弾仕様車が専用に開発されており、一見、普通の高級車と変わり無く見えても実際には中身が「防弾仕様」だったりするのだ。

車両価格は明かされていないが、ベース車の「S600」が2,250万円であることからすれば倍以上はするものと予測される。

Mercedes-Benz_S600_Guard

シリーズの頂点となる「防弾車」はいずれにしても全ての面で「最高峰」であることは間違い無い。

*参考: DAIMLER