デジカメの「今とこれから」スマートフォンとの共存は可能か

ソニーがフルサイズセンサーのレンズ一体型機を、ライカがアルミ削りだしボディの超高級ミラーレス機を発売するなど、一見すると高級路線にまい進しているかのように見えるデジタルカメラ業界。

しかしその方向だけに進んでいるのだろうか。

デジカメの未来

現在のデジタルカメラにはスマートフォンという大きな敵が存在する。

スマートフォンに内蔵されるカメラは年々進化を続け、1,000万画素を謳うものまで登場している。特にスマートフォンとデジタルカメラの両方を作るメーカーにとっては、他メーカーのスマートフォンとの差別化を図るためにもデジタルカメラで開発した技術を次々とスマートフォンに導入せざるを得ないという状況となってきている。

特にソニーのXperia Z2などは2,070万画素の撮像センサーにF2という恐ろしく明るい単焦点レンズを搭載し、4Kテレビにも対応する動画撮影機能をも持っている。デジタルカメラをわざわざ購入させようとするには、これに対抗する機能が大前提となってくる。sony_xperia_z2 8月7日に発売となったCanonのIXY130というモデルは手のひらサイズに光学8倍ズームという高倍率のレンズを搭載し、画像劣化の無い範囲でのデジタルズームも最大解像度時で16倍、SNSやメール送信などに使われる最小解像度時では32倍という倍率を可能にしスマートフォントとの差別化を図っている。

Canon ixy 130

スマートフォンとは一線を画す方向で進んでいるのがミラーレス一眼デジタルカメラだ。

レンズ交換が可能なことでボディ側はある程度自由に機能を盛り込めることで個性を生んでいる。またミラーレス一眼では闇雲に画素数を上げればいい、という風潮は終わりつつあり、現在では夜間でも使えるような高感度撮影と画素数のバランスが重要視されている。

特に高感度化はISO感度4万を超えるものが20万円台で販売されるようになっている。また、動画機能は必須とも言え、フルHD動画は当たり前、4K動画の撮影も可能なものが増えてきている。sony_a6000 動画撮影をメインに捉えると、最近の話題はアクションカムという分野。

GoProという超小型カメラは防水パックがセットとなっており雨や泥かぶりに強く、様々なアタッチメントを駆使すれば自動車のボディやヘルメット、自転車のハンドルやカヌーの先端などあらゆる場所に装着が可能で、WiFi転送でスマートフォンからストリーミング放送も可能というスグレモノ。

このGoPro人気に乗ってか、様々なメーカーがアクションカムの分野へと参入している。goprohero3

デジタルカメラを俯瞰して考えると、「何を」「どう」撮りたいかという部分に先鋭化して来ているように思う。

またこれからも先鋭化してくることだろう。「何を」の部分は、特にスマートフォンと競合しやすいコンパクトデジタルカメラの分野では、高倍率ズームや近接撮影などが特に強化されて行き、ミラーレス一眼ではピント合わせや連続撮影のコマ速度などのレスポンスが非常に速く、GoProのようなアクションカムは「どう」撮影するかの部分に特化している。

この先鋭化した部分が、全てを平均的に性能強化するスマートフォンのカメラに対してのアドバンテージとなり、スマートフォンでは撮影できないような写真を生み出すことになる。

ところで、ここまで紹介したものは、実は全て何らかの形でスマートフォンと関連している。

ここ最近登場の、もしくはこれから先に登場予定のほぼ全てのカメラにはWiFi機能が搭載され、SNSに簡単に投稿する、もしくはストリーミング配信が出来るという機能が実装されている。

ただ普通に写真を撮るだけならスマートフォンだけで完結しても、より美しい写真、より激しい動画などデジカメでなくては撮影できないような写真や映像こそSNSなどで共有したくなるものだ。そのニーズにデジカメ側が擦り寄っているともいえる。

しかしスマートフォン側もアプリというカタチでデジカメ側に擦り寄ってきている。NFCという非接触通信技術を使用し、スマートフォンをデジカメに近づけるだけで撮影した写真をスマートフォン側に送るという機能を持たせたものも登場している。またスマートフォンをカメラのリモコンとして使い、カメラを通して写るファインダー内の画像をスマートフォンで確認しながら露出やズームを操作し、シャッターを切ることが出来るものも登場している。

デジカメの「目の上のタンコブ」とも思われるスマートフォンは、実はお互いにとって共存できる相手でもあるのだ。

カメラ界に大きなインパクト

ところで、写真という概念自体を覆すカメラが登場したことをご存知だろうか?

lytro

Lytroというこのカメラ、撮影時にピントを合わせる必要が無い。撮影後にピントの位置を任意に決めることができるライトフィールドという技術を使った画期的なカメラなのだ。

仕組みを簡単に説明すると、一般のデジタルカメラはフィルムの代わりとなる撮像センサーの平面にレンズを通した像を写し記録する。しかしLytroのようなライトフィールドカメラはレンズを通った光を複数のマイクロレンズセンサーで光量の強弱と方向、角度などでデータとして記録し、そのデータを現像して初めて写真のカタチにする。

また、ピントを撮影後に任意に決められるという機能のほかに、撮影レンズの超小型化も可能という部分も魅力的に見える。Lytro ILLUMというモデルで搭載のレンズは、30-250mm全域でF値2.0となる。これを一般的なミラーレス一眼のレンズで考えれば全長で30cm以上、重量で2kg以上となるが、Lytroではカメラ全体で970gと軽量だ。

現状では解像感などでは一般的なデジタルカメラには及ばないライトフィールドカメラだが、技術が進歩していくと考えればかなりの可能性を秘めているともいえる。Lytroなどのライトフィールドカメラの登場で、カメラ界全体ではピント合わせから開放されるという技術の開発が活発になってきている。

オートフォーカスからノーフォーカスへ、ライトフィールド以外の技術も、チラホラと見え始めてきているのだ。

カメラ界の方向性

「簡単に」「思ったとおり」の写真や映像が撮れることが、昔からのカメラ界の理想といえる。この理想に近づけるために高画素数、高感度、高倍率ズームなどが開発され、Lytroのようなライトフィールドカメラも開発された。

また「思ったとおり」に撮影できた写真は、どうしても人々に見せたくなるもので、そこにはスマートフォンとの連携によるデーター通信経由でSNSやクラウドサーバーへの投稿が「いつでも」「どこでも」出来る便利な機能が存在する。

写真や映像はデジタルとなったことで、印画紙やフィルムといったメディアに縛られることなく、その作品の発表の場はかなり自由になった。またデジタルカメラの撮像素子は、その情報量において銀塩フィルムをとっくに追い抜いていること、そしてその高い情報量を編集するマシンの負荷が高まりすぎていることから、そろそろ高画素競争の呪縛からも逃れることが出来るかもしれない。

呪縛が一つずつ消えて行き、そこに自由が生まれる。「思ったとおり」「いつでも」「どこでも」は自由を連想させる言葉だ。これからのカメラは、高機能とは別に「自由」「free」というキーワードを、わかりやすく商品に落とし込んでくることになるだろう。

*参考・画像:ソニーモバイルコミュニケーションズ|Sony Mobile Communicationsキヤノン:IXY 130|概要α6000 | Eマウント | デジタル一眼カメラ α(アルファ) | ソニーGoPro 公式ウエブサイト。世界一多才なカメラLytro