理想より実践へ!欧州委員会が掲げる「Well to Wheel」という文化

前回、欧州委員会が2020年までに新車1台あたりのCO2排出量を95g/km(平均値)に目標設定していることを告げた。

欧州委員会が掲げる「Well to Wheel」という理念は、採掘から消費まで、すべての過程で低炭素化することである。厳しい規制であることは百も承知だが、結果的に自動車産業に競争力をもたらすと信じている。

これに対しハイクラスのラグジュアリー・ブランドは「プラグイン・ハイブリット化」で乗り切る構えだ。なぜなら、欧州の燃費測定法である「ECE R101」ではプラグイン・ハイブリット車の燃費を測定する場合、実際のCO2排出量を燃料消費量削減係数で割ることになっていて、そこに免除分が生まれる。

結論を先に言えば、EVモードの走行距離が長いほど有利に働くシステムなのだ。

Mercedes-Benz S 500 PLUG-IN HYBRID (W 222) 2013

プラグイン・ハイブリッド恐るべし

最新のメルセデス・ベンツ『S500 プラグイン・ハイブリッド』は、EVモードで33km走ることができる。3リッターV6ターボ・エンジンを搭載するがCO2排出量は65g/kmだ。日本でのエントリーモデル『S400ハイブリット』は3.5リッターV6エンジンを搭載しCO2排出量は147g/km。ハイブリット車も優秀だが、プラグイン・ハイブリッド車の優位性は揺るがない。

ポルシェはSUVのカイエンにプラグイン・ハイブリッド車を投入した。『カイエンSE-ハイブリッド』は3リッターV6スーパーチャージャー・エンジンを搭載しCO2排出量は79 g/km。この数値はリッターカーのup!とほぼ同レベルだ。まさに「プラグイン・ハイブリッド恐るべし」である。

ロールス・ロイスもベントレーも、今やラグジュアリー・ブランドが生き残るには「プラグイン・ハイブリッドしかない」と明言している。ベントレーはすでに2017年に投入する新型SUVがプラグイン・ハイブリッド車になることを公表している。

Cayenne S E-Hybrid

さらなる素材革命とEV優遇策を駆使して

アルミに次ぐ軽量素材として有力なのはカーボン(炭素繊維強化プラスチック)だ。BMWは三菱レイヨンと技術提携しこの技術をモノにした(生産はグループ企業のSGL)。今後はその生産量を3倍に引き上げるという。ちなみに、ダイムラーは東レ、GMは帝人と組んでこの分野に乗り出している。

CO2排出量の削減にはEVをラインナップし優遇策を受けるのも有効だ。2014年は2.5台、2015年は1.5台としてカウントされる。BMWの『i3』がこれに当てはまる。また、ダイムラーは手始めに北米でBクラスのEVの発売を開始した。

この先、燃料電池車も登場するだろうが、オール電化された自動車がどこまでマーケットに受け入れられるのか、この点も大いに気になるところだ。