Kickstarterでも話題のスマートペンは本当に「スマート」か?

クラウドファンディングサイトKickstarterで「これ欲しいな」と思うものづくり系プロジェクトに出会った。その名も「Mimoto SmartPen by Mimoto Tech」。

一言でいえば、ノートに手書きしたものをリアルタイムでスマホなどに記録でき、さらにパソコン画面をタッチパネルにできる、スマートなペンである。

見た目は普通のボールペンだが、ペン先にトラッキング用のレシーバがあり、紙に文字や絵を書くとセンサーがペンの動きをキャッチして、その座標位置をデバイスに転送する仕組みだ。

また、ペンのリフィルをインク用からタブレット用に取り替え、レシーバーをセットすれば、PCのモニターをタッチスクリーンにすることもできる。たとえば、カルテ等の手書きの重要資料のバックアップなど、ビジネスシーンから教育、日常生活、趣味と様々な場面で使えそうな期待感がある。

Mimoto SmartPen by Mimoto Tech

目標額の2万ドルを早々と達成したこのプロジェクトは、どの程度話題になっているかTwitterで検索してみると、様々な言語でプロジェクトを紹介するツイートがされており、普遍的にニーズがあることがうかがえる。日本では、「紙に書いた文字や絵をリアルタイムでスマホに転送!「Mimoto SmartPen」がKickStarterで出資者募集中!」というテキストともにシェアされ、スマートペンの魅力を紹介する記事も散見された。

では、この注目のスマートペンが今までなかったかものかと言えばそうでもない。スマートペンにおける世界有数のリーディング カンパニーの「Livescribe」は、日本でも「Livescribe wifi smartpen」「echo smartpen」を展開している。他にも、ロングセラー商品Campusシリーズを販売するコクヨが、ペンではなくノート側がスマートなデジタルノート「CamiApp S」を発表しており、ペンやノートは確実にデジタル化が進んでいる。

Mimoto SmartPen by Mimoto Tech2

「スマートさ」を決めるものは、目新しさやテクノロジーだけではない

もっとも、Mimoto SmartPenの方が機能的で価格も安く、ノートなどの付属品に縛られない点で、より魅力的と言えるかもしれないが、本稿ではデバイスのスペック比較のようなことをしたいわけではない。

テクノロジーの進化はすばらしいし、イケてるガジェットは欲しくなるものである。だが、大切なのはどう使うか、それによって何が実現されるのかであり、それこそが「スマートか否か」を決めるからだ。

少し前の話になるが、ゲーム業界のパラダイムシフトを例に取るとわかりやすい。映画のような映像とストーリー、つまりはリッチさを追求したPS3に対し、任天堂はWiiやDSという逆張りの商品で勝負して成功を収めた。また、デバイスへの関わり方の変化にあわせ、ビジネスモデルが全く違う、チープとも言えるソーシャルゲームやスマホアプリでユーザーのニーズをつかんだ。

スマートさとは

何が言いたいかというと、「スマートさ」には、二つのステップあると思うのだ。

たとえば、筆者はPowerPointなどで企画書を作る前に、ノートに絵や文字を書きなぐって構想をまとめることが多く、「手書きのものがそのままパワポ資料になればいいのに」と常々思ってきた。スマートペンでその「あったらいいな」が実現し、このことで第一のステップは達成される。便利であることは間違いないし、仕事の効率は上がるだろう。

ただ、同時にある疑念が頭に浮かぶ。「果たして、日常的に使い続けるだろうか」「本当に不可欠なものだろうか」と。

つまり、第二のステップは、目新しさやテクノロジーの進化とは別のところにある。たとえ機能を活かしきれなくても、ある人にとって最適なソリューションであればそれで良いし、感性的に使いこなせないのであればハイスペックであっても仕方がない。スマートペンを例に取れば、こんな風に使うとより面白い、こんな素晴らしい世界が広がるとイメージし、新たな価値を発見することで、「スマートになる」と言えるのだ。

「スマート○○」は巷に溢れている。だが、商品やサービスそのものがスマートなわけではなく、スマートに使いこなすこととイコールではない。「スマート」という言葉は多義的であるがゆえに、扱いもまた難しい。技術の進歩に合わせて、スマートさを見定める目を養っていく必要があるだろう。

*参考:Mimoto SmartPen by Mimoto Tech — Kickstarter