世界最大の水上スラムに「浮かぶ」学校は貧困を救う希望となるか

予測困難な気候変動や海面上昇により、現在世界の多くの地域でウォーターフロントが危機的状況にある。また、途上国の海岸沿いなどにある集落は度重なる洪水や浸水に悩まされるだけでなく、大規模開発を企む行政府からの撤去圧力も受け続けている。

貧しさ故に教育も行き届かず、貧困という負の連鎖が拡大していく中で、興味深いプロジェクトが始まった。

それがフローティング・コミュニティ構想だ。

floating school Makoko Lagos

 “アフリカの希望”ラゴスの現実

アフリカ諸国で最大の人口と経済規模を持つナイジェリア。その経済の中心であるラゴスは、人口1,600万人を抱え世界有数のメガシティとなった。グローバル企業の進出と超大型開発が進み、その成長はとどまるところを知らない。

しかし、急激な成長は社会に大きな歪みを生じさせている。かつてはのどかな漁村が広がっていた沿岸部も開発が進み、多くの人々が行き場を失った。そんな彼らは次第にMakokoと呼ばれる町に集まりはじめ、ついに世界最大の水上スラム街を形成することとなった。

Makoko 水上スラム

住民は漁業と僅かな縫裁業で生計を立てるが、経済成長に伴うインフレで生活は常に苦しく、教育環境も最悪といえる。学校もあることにはあるのだが、頻発する浸水で授業もままならぬ状態。

劣悪な教育環境は、貧困の連鎖をより強固なものにしていく。

デザインの力でより良い環境を

そんな途上国のウォーターフロントにおける地球環境と経済環境の両側面から受ける問題を改善していこうと立ち上がったのが、デザイナー・建築家集団のNLĒだ。

NLĒは、アフリカ・ヨルバ族の言葉で”at home”を意味する。ナイジェリア出身のKunlē Adeyemiによってオランダ・アムステルダムで立ち上げられ、世界の水上都市における建築物・住環境問題をデザインを通して解決しようと活動している。

彼らはUNDP(国連開発計画)とHeinrich Böll Foundation(ハインリヒ・ベル財団)の支援を受け、ラゴスのマココの水上スラムにおける環境改善に取り掛かった。

Makoko コンセプト 水上住居

彼らが選んだのは、杭を打ち込みその上に建築する従来のやり方ではなく、建物自体を水上に浮かべてしまおうというコンセプト。これなら水面上昇のリスクに対応できる。浮となるなるプラスティックタンクには、雨を貯め生活用水として確保できる。

社会の中心として考える教育

そんな彼らが真っ先に建設を進めたのが、フローティング・スクールだ。水上に浮かぶこの学校において未来のコミュニティを支えることになる子供たちを教育していくことが、このプロジェクトの成功の鍵になるに違いないと考えたのだ。

Makoko 水上学校

太陽光発電や雨水利用、自然の空冷システムなどの技術を駆使したこの学校でサステイナビリティと生活のバランスを中心に置いた教育を受けることにより、マココの子供たちは極端な近代化だけが経済発展ではないことを身をもって学ぶ。

子供たちが親世代に影響を与え、そして彼ら自身が親となる近い将来には、ここマココには今とはまったく違った光景が広がっているかもしれない。

ラゴス 水上都市 コミュニティ

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