医療費カットなるか?最新デバイスで社員を健康管理する事例3つ

米国では、企業の医療保険コストを削減するために、ウェアラブル端末を利用した健康管理の試みが始まっている。

ウェアラブル端末で社員の健康状態を管理・維持することで、医療保険コストを下げられるのだろうか。

社員の健康管理

社員が健康になり、会社の負担も軽減され、一石二鳥

エネルギー関連企業大手のBP p.l.c.は、体重が260ポンド(約118キロ)の元フットボール選手である51歳のコリー・スレーグル(Cory Slagle)氏に対して面白い提案をした。

Fitbit社のフィットネストラッキングブレスレットを装着して、ポイント獲得のために体重を減らすことができれば、現在年間で1,200ドルかかっている保険料をもっと安いプランに変えることを検討できる、というものだった。

Fitbit社のフィットネストラッキングブレスレット

この提案はスレーグル氏にも会社にもメリットがある。本人と会社が負担している保険料が安くなるからだ。

そこでFitbit社のグレスレットを装着したスレーグル氏は、数ヶ月の間これまで以上に多く歩き、ハンバーガーをサラダに変え、炭酸飲料を水に変えた。

その結果、驚くべき事に31.8キロも減量することに成功したのだ。

このことから、企業がウェアラブル端末を利用して社員の健康管理を支援すれば、医療保険コストが下げられるということが見えてきた。

もちろん、社員が健康になれば、企業の生産性も上がるはずだ。

リコーがウェアラブルによる健康管理システムをまず社員で

日本でも株式会社リコーが、ウェアラブル端末を利用して社員の健康管理を試みている。ウェアラブル端末による日々の健康状態のデータと、定期検診の結果をデータベース化し、経年変化をチェックしようというものだ。

ウェアラブル端末からは日々の歩数や血圧などがデータとして集められる。それらのデータから健康上の変化を専用ソフトで予測し、産業医が遠隔診断することで生活習慣病を未然に防ぐという。

リコー_遠隔生涯ヘルスケアサポート

同社がこの試みを始めたのは2014年5月からで、まずはグループ3万7,000人の従業員を対象としたデータベース構築を行う。

そしてこの試みで蓄積したノウハウを、2015年の春からクラウドサービスで「遠隔生涯ヘルスケアサポート」として事業化する予定だ。

このクラウドサービスでは産業医と遠隔面談もできるように、同社はビューセンドアイシーティー社と共同で遠隔画像伝送システムを開発し、リコーの画像処理技術と組み合わせることで超音波診断なども互いに確認しながら診断や面談ができるようにするという。

オムロングループ1万5000人が競う「オムウォーク」

もう1社、独自の端末で社員の健康管理を行おうとしている企業を紹介したい。オムロン株式会社だ。

同社の社員健康管理の試みは2009年から開始されており、グループ1万5,000人を対象としている。

こちらが利用している端末は同社の歩数計だ。社員がこの歩数計を身に付けて、3ヶ月間の累計歩数と消費カロリーを計800以上の部署間で競い合う「オムウォーク」という取り組みは、毎年行われている。

なにせ部署単位の競争なので、怠け気味の者はたとえ管理職でも部下からもっと歩くようにハッパを掛けられるという。

オムウォークの流れ

歩数計は専用のトレイに乗せるだけでデータが収集される仕組みだ。

「オムウォーク」は同社が健康産業自らが社員の健康を促進すべく取り組んでいる活動だが、健康以外にも社内のコミュニケーションが促進されたという効果も見られたという。

しかしこの「オムウォーク」には「オムロンヘルスケア」の次の戦略を見せているという。

歩数計を通信回線でサーバーと接続して健康管理する仕組みを、企業や自治体に普及させたいと考えているようなのだ。

ウェアラブル端末で社員の健康管理を行う動きが広まる可能性

企業がウェアラブル端末で社員の健康管理を行う動きは、保険料負担の軽減やビジネスへの応用など、各社様々な思惑で行われているが、この様な取り組みは広がる可能性がある。

例えばアップルは、近くiWatchと合わせてリリースすると予想されている健康管理プラットフォーム「HealthKit」の活用について、大手保険会社2社と話し合いを始めたとされている。

今後フィットネストラッキング端末と関連ソフトウェアを医療機関や医療保険のシステムと連動させるという取り組みは、広がっていくことだろう。

*画像出典:Wear This Device So the Boss Knows You’re Losing Weight ? | Bloombergリコー 遠隔生涯ヘルスケアサポートシステムで社内実証実験を開始 | RICOH世界中の一人ひとりの健康を支えたい | omron Japan