嫌われ者の「廃タイヤ」がリチウムイオン電池の原料になる可能性

現在の日本では、(社)日本自動車タイヤ協会によれば、廃タイヤのリサイクル率は90%に迫っている(熱利用を含む)。しかし、かつては不法投棄が問題になったことも多いことから想像できるとおり、タイヤは産業廃棄物として問題になりやすい。

その廃タイヤをリチウムイオン電池の原料として再利用する方法を、アメリカの研究機関Oak Ridge National Laboratory(ORNL)が発表した。

廃タイヤがリチウムイオン電池に

タイヤに使われているカーボンブラックという成分の微細構造の特性を変えることで、リチウムイオン電池の陽極を作ったところ、好ましい特性を示したというのだ。

工業用グラファイトよりも優れた特性を実現

このORNLが発表した方法によれば、熱分解によってカーボンブラックを取り出す工程の前に行う、独自の下処理が重要なのだという。

その方法によって作られたリチウムイオン電池の陽極は、工業用グラファイトを原料にして作られた陽極よりも優れた結果が得られた。Recycled-Tire-Battery-Schematics_hr

この技術が実用化されれば、より安価で、より環境に優しいリチウムイオン電池の陽極が実現する可能性がある。いっぽう、タイヤの廃棄は、日本のような先進国では改善されているものの、発展途上国ではまだまだ問題になる可能性がある。

現在でも携帯電話やカメラなど、リチウムイオン電池が使われている機器は多いが、今後はハイブリッド車や電気自動車などに広く採用されて普及していくことが予想される。その際に高性能なものが低価格で作れるようになり、タイヤの廃棄による環境問題も改善されれば社会にとってメリットは大きいだろう。

*出典:OAK RIDGE National Laboratory -Rubber meets the road with new ORNL carbon, battery technologies-