次世代の防災として「エネルギー備蓄」が鍵となる

防災の日

今後発生が予想される南海トラフ巨大地震では、日本全体の電気の約60%、水道の約80%が停止すると試算されている(参考:内閣府)。

この地震によりライフラインが被災すると、復旧するまで約1週間かかると見込まれる。その間の水・食料、そしてエネルギーを予め確保しておかなければならない。

災害が起きてから最初の1週間への備えが重要になってくるのだ。

 

これからの防災は、「水・食料」に加えて「エネルギーの備蓄」が鍵になる!

大人1人に必要な1日の「水・食料」は、3リットル、1,460kcalと言われる。家族分を1週間ともなると相当量の備蓄が必要だ(参考:マンション・ラボベターホーム協会)。

東日本大震災前後で、大地震に備えた対策として、「食料や飲料水を準備している」と答えた人は、平成21年が約3割だったのが、平成25年には半数近くまで向上している。大震災を経て、防災意識が浸透していることが見て取れる(参考:内閣府調査)。

一方で、真夏や真冬に災害が起きた場合などは、水・食料だけでなく、復旧までの住環境を整えることも忘れてはいけない。つまり、これからの防災には、生活で必要となるエネルギーの蓄えが不可欠とも言える。そこで、次世代の防災として「エネルギーの備蓄」について考えてみたい。

例えば緊急時でも必要な電化製品といえば、照明や冷蔵庫、暖房器具、そして通信をとる手段として必須となったスマートフォンなどがあげられる。水・食料に加えて、連絡手段と情報源があるということは、重要なポイントになるだろう。

これら緊急時に必要な電化製品の1日当たりの使用電力量を計算すると合計500~1,000whとなる。

(冷蔵庫(常時)200~500wh+リビング照明(夜間6時間点灯)360wh+スマホ(2台×1回充電)60wh)。

これだけのエネルギーを蓄えておくにはどのような選択肢があるのだろうか。

 

浸透してきた家庭用蓄電池

電気製品を動かすための電気エネルギーを蓄える方法として、住宅用の蓄電池がある。

・大手電機メーカーの蓄電池の容量は4,000wh~7,000wh(参考:スマートホームで賢く快適生活

この容量であれば3日~7日は持つ計算である。家庭用蓄電池の2013年度の国内市場規模は約300億円、補助金もあることから、購入しやすい価格になってきている。例えば7,200kwh、199万円の製品への補助金は87万6千円で、購入費用は112万円ほどである(参考:MONOistエコ発電本舗蓄電ナビ)。

これらの蓄電池は、夜間の安い電気を蓄えて、昼間に使うことができ、節約効果も高い。また電力のピークシフトができる点も忘れてはならないメリットだ。

とは言え、100万円以上の買い物であることには間違いなく、この蓄電池機能を安価で手に入れる方法として、昨今評価され始めているのがプラグインハイブリッド車や電気自動車などの次世代自動車があげられる。給電機能がつく次世代自動車は、移動が可能であることに加えて、もしもの時に蓄電池になる。専用の家庭用蓄電池を買うよりも効率的である。

 

防災装備としての次世代自動車

トヨタ自動車が販売する、「プリウスPHV」は充電プリウスとも呼ばれ、大容量充電池を内蔵している。その電池容量は4,400whと家庭用蓄電池並みである(参考:toyota.jp プリウスPHV)。

実際にプリウスPHVの外部電源機能で男性数人が避難生活を試したところ、9日間電気を使うことができたという話もある(参考:「次世代環境車の未来とは?」プリウスPHV開発責任者に聞いた最終回)。

 

中学校の防災訓練に給電するプリウスPHV

プリウスPHVはこの外部電源機能を活用し、災害に強い地域を目指す活動「Sakuraプロジェクト」にも取り組んでいる。先日、豊田市内の中学校で行われた防災訓練ではプリウスPHVとプリウスを計5台用意し、避難生活する体育館に電気を供給。一般家庭だけでなく、避難所へのエネルギーの提供できることが実証された。

電力を供給するプリウスPHV

電力を供給するプリウスPHV。

8月2日、3日と行われた防災訓練は、体育館を避難所として生徒達が避難生活するというもの。体育館で一泊するということで、不安そうな生徒も見られたが、自分たちで操作して、明かりが灯ると安心した様子。この防災訓練では、生徒達が、実際に食事を作ったり、水を確保したりと生き抜くための訓練をするという本格的なプログラムになっている。防災訓練終了後、生徒達に疲労感も見られたが、やりきった達成感も感じ取れた。

実際に電気がともり、思わず生徒も拍手

実際に電気がともり、思わず生徒も拍手。

避難所内にも明かりが灯る

避難所内にも明かりが灯る。

 

防災システムとして組み込まれる日産リーフ

同様の取り組みは、日産リーフでも行われている。住友不動産が展開する「ベルサール」の災害時の補助電源として日産リーフを活用する試みで、災害時は「ベルサール」を都内での避難所とすることを想定している。

日産|「住友不動産新宿グランドタワー」電気自動車「日産リーフ」の電力供給システムを導入

(*画像:日産自動車

このように地域に複数台、給電機能を備えた次世代自動車があることで、避難所への電力供給も可能になる。外部給電機能が搭載された次世代自動車は、トヨタ プリウスPHV、日産リーフ以外にも、三菱アウトランダーPHEV、i-MiEV、ホンダ アコードPHVなどが発売されている。

 

多彩な発電機も発売されている

また自転車でも、走行しつつ一緒に蓄電をしてしまう製品が登場している。たった8メートルの走行で、携帯電話3分通話時間相当の電気を発電してくれるというので、例えば避難所にこれが1台あるだけで多くの問題を解消することができるだろう(参考:AERO-LIFE)。

3.11では乾電池やガソリンが品薄になり、長蛇の列となったことが記憶に新しい。高度に電化された現代社会において防災を考える時、水・食料だけではなく「エネルギーの蓄え」を考慮することが重要だと改めて分かった。特に照明や、スマートフォンによる情報入手や安否連絡などのために、忘れてはならない要素だと言えそうだ。

備えあれば憂いなし。防災の日をきっかけに防災意識を高めていきたい。