テスラ モデルS日本販売開始「イーロン・マスクCEO」の意図とは

テスラ モデルSが日本での待望のデリバリーを開始。その速報をお伝えしたばかりだが、今回は詳細について振り返ってみたい。

Tesla Model S

テスラ モデルSとは

最大502kmの航続距離を持つ5人乗りの電気自動車。バッテリーは床下に、高効率なモーターをリアホイールの間に収めたため、トランクはリアとフロントの2箇所に設置。実用性が非常に高く、テスラ成功のカギを握る本命車種である。

Tesla Model S

デザインは一般的なセダンであるが、特徴的なのはインテリア。17インチのタッチスクリーン液晶を備え、すべての操作はこのパネルから行う。またオンラインによる自動アップデートに対応し、自動車というよりも、「走るスマホ」といった方が近いイメージだ。もちろんこれはIT起業家であるイーロン・マスク氏ならでは新しい発想が反映されている。

スーパーチャージャーネットワーク

モデルSの日本納車開始と同時に、日本でのスーパーチャージャーネットワークの整備も明らかになった。スーパーチャージャーといってもエンジンの過給器のことではなく、「急速充電器」のこと。もともと全米をテスラで横断、自由に移動できるようにとの発想から整備された120kW充電スタンドで、20分で最大容量の約半分、30分で270km走行可能となる。

Tesla Model S
日本でもこのスーパーチャージャーネットワークが整備、利用可能となり、テスラオーナーは無期限、無料で使用することができる(ただし60kWhモデルはオプション)。

もちろん家庭用100V、200V、公共の充電ステーションで採用されているチャデモ規格対応のアダプタを装備しているため安心だ。

なお、スーパーチャージャーの電気は100%太陽光発電で供給されており、サステナブルである。

Tesla Model S

質疑応答

納車式にさきだち行われたイーロン・マスクCEOへの質疑応答をまとめてお伝えする。

Q:日本デリバリーに時間がかかった理由は?

A:右ハンドル対応と日本語化のため

Q:アメリカについで日本に導入する理由は?

A:日本はアメリカ、中国に続く大きな市場。日本は太陽光発電が機能する気候、経済大国で電気に移行しやすい。バッテリーはすべて日本、パナソニック製なので「日本の心」が入っていると感じてもらいたい。

Tesla Model S

Q:ギガファクトリーの莫大な投資だが、資本はどうなっているのか?

A:40~50億米ドル規模の投資、テスラは半分。3~4割がパナソニック、工場を作るネバダ州がサポート。

Q:中国市場の計画、現地生産の可能性は?

A:準備している。ギガファクトリー(ネバダ州)以外の生産設備は考えていない。

Q:(関係ない質問で恐縮だが)ラーメン二郎に行った経緯、味はどうだったか?

A:狙ったわけではなく、友人と新宿を歩いていてたまたま通りかかった。自動食券販売機で700円のを買い、アサヒビールも頼んだ。おおきな丼でびっくりした。とても美味しかったよ。

Q:水素、燃料電池についてどう考えているか?

A:水素を作るのには時間とエネルギーが必要で、それは電気自動車を動かす以上のため効率が悪い。水素そのものを貯蔵、輸送が難しい。総合的にみて、現時点で検討していない。

テスラ納車

Q:パートナー企業のパナソニックについて

A: 素晴らしい企業、山田さん(パナソニック代表取締役副社長は自分で買ってくれるほどテスラ・ファンになってくれた。感謝。両者にとっていい結果につながっている。パナソニックの意思決定スピードが上がっているし、きちんとリスクとってくれる。

Q:株式上場、スペースXについて

A:スペースXは長期的な計画、火星に都市を作ることを考えている。株式上場は企業のゴールと乖離がないことが条件。テスラの上場は早すぎたかもしれないが、資金をいれていかないといけないのであの時点となった。大丈夫かという意見もあったのは事実だ。

Q:海外からの輸入コストが高くなっている日本でのエネルギーの見通しについて

A:そもそも地球上のエネルギーの大半は太陽光に頼っており、地熱も再生可能エネルギーでこれから有望だ。原子力はもう役割を果たし終わったと考えている。何かあれば福島原発のような大きな問題が起きる。災害に対応できる原発でないといけないが、慎重に進めてほしい。現時点で原子力発電の利用は考えていない。

Q:オートパイロットシステム(自動運転)について

A:オートパイロットは長期的観点で10年ほど開発に必要と考えていたが、今は5~6年しかかからないとみている。今後加速度的に発展すると思う。

Q:日本仕様ナビゲーションシステムが、現在Google Mapしかなく不便

A:テスラはソフトウェア更新が出来るのが従来の自動車と違う素晴らしい点。今後2~3ヶ月の間に新ナビがアップロードされる予定だ。

Q:トヨタ自動車との協力関係、トヨタから学ぶことはまだあるのか?

A:これまで素晴らしい関係を築いてきた。提携は今年で一旦終了するが、今後2~3年先に大規模な取り組みがあっても驚かない。まだまだトヨタから学ぶことはたくさんある。

Q:特許、オープンソースについて

A:EV開発を促進したい、持続可能なトランスポーテーションシステムを世の中に提供したいため、オープンソースとした。バカな決断だったと言われるし、将来失敗だったとなればバカだったなというしかない。しかしEVの開発を加速、世間に役立つ、市場の発展に貢献したいという思いからだ。特許を守るためにイノベーションの進化をとめたくない。

Q:EVの進化があれば、テスラが犠牲になってもいいと聞こえるが?

A:たしかに開発をスローダウンして利益を上げるオプションもある。でもそれよりも、生産を継続、開発を加速することが大事だ。短期的に利益をあげることができなくとも、値頃感のあるものを提供、イノベーションを継続していきたい。テスラの株式のうち20-25%を自分が持っているが、大半は株主のものだ。株を売ってしまえば、沈没する。テスラがインベンティブではないと思ったら、私のクビを切ってもらっても構わない。

まとめ

テスラは従来の自動車メーカーの延長ではなく、どちらかといえばスマホに近い発想、ユーザーの使い勝手を想定して開発がすすめられている。スマホを充電するように、電気自動車を充電。オンラインでのアップデートに対応している。100%エコでサステナブルな社会を実現するために、電気の供給源も太陽光発電と一貫してこだわっている。

昨今、水素が注目されているがテスラは現時点では関心がない。電気だけで日本全国すべてをカバー、移動できることを目標とし、超高速充電スタンド「スーパーチャージャー」の整備を行っている。

テスラの成否はこのモデルSにかかっているといっても過言ではない。今後の売れ行き、反響に注目していきたい。