ゼロ・エミッション社会を目指すUAEが世界の高校を支援する

高校単位で参加するコンテストには様々なものがあるが、最も世界的に注目され、また賞金も大きなものといえばザイード・フューチャー・エネルギー賞だ。

環境・エネルギー問題に取り組む世界全ての高校が参加でき、その賞金総額は50万米ドル(約5,500万円)。学校が参加する大会としては破格の賞金ともいえる。

この賞を主催するUAE(アラブ首長国連邦)は、なぜ世界の高校生を対象にこのような賞を設け、支援を始めたのだろうか。

ザイード・フューチャー・エネルギー賞 サステイナビリティ

フューチャー・エネルギー賞とは

再生可能エネルギーとサステイナビリティの分野での業績と革新を称えると共に、次世代を啓発して未来へ影響を与えることを目指し創設されたザイード・フューチャー・エネルギー賞。

この賞はUAE建国の父であり、同国における持続可能な社会建設構想の基礎を築いた故ザイード・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン大統領のビジョンを具現化したものだ。2009年より始まり、この分野では世界最大の国際会議「ワールド・フューチャー・エナジー・サミット」の席で授与される。

UAEアブダビ政府に代わり世界最大の未来都市開発会社マスダールが運営し、大企業・中小企業・NGO・生涯功労者・グローバル高校部門の5つのカテゴリーで表彰。賞金総額400万米ドルは大企業部門を除く各部門に配分。2013年より新たに加わったグローバル高校賞は、アジア・アフリカ・欧州・南北アメリカ・オセアニアと世界5つの地域ごとに表彰され、それぞれの優秀校に10万米ドル(約1,100万円)の賞金が授与される。

国連事務総長の「すべての人のための持続可能エネルギー・イニシアチブ」に呼応して新設され、イニシアチブのテーマである”再生エネルギー・エネルギー利用・エネルギー効率”の中から一つ以上に関わるプロジェクトの提出が求められる。

ザイード・フューチャー・エネルギー賞ファイナリスト 高校生

オイルマネーをエネルギー教育へ投資

アブダビ政府は、世界の次世代エネルギー構想をリードするために新たに作られた国際再生可能エネルギー機関 (IRENA)を誘致し、大掛かりな国際会議を創設。そして未来へのエネルギー研究を促進するために毎年4億円もの賞金を準備。それだけではなく、この賞は次世代へのエネルギー教育へと大きく舵を切った。

原油や天然ガスの輸出だけに依存した経済のUAEにとって、これら天然資源の枯渇と地球環境の急激な変化は国家の死活問題だ。石油に大きく依存した世界経済も、持続可能性からみると非常に不安定。だが、現実問題として目先の成長には代えられない。

そこで教育分野への投資という、未来を担う子供たちを支援するという賞の方向性が決まった。どんな企業や研究機関に投資することよりも、将来それらを支える人材となる今の子供たちへ投資することは、より効果的だ。そして、より良い社会への変化を受け入れる下地をつくるのも、もちろん教育だ。

ザイード・フューチャー・エナジー賞 ファイナリスト 富士見丘高校

日本の高校生の活躍

グローバル高校部門が創設された2013年、アジア地域ファイナリストに選出されたのが富士見丘学園(東京)だ。徹底した資源のリサイクルや生ごみの堆肥利用、地域社会と連携した活動などが評価され最終選考まで進出。学校・生徒代表がUAEアブダビへ招かれエナジー・サミットへ出席することとなった。

普段の高校生活では決して体験することができない、世界中から集まった首脳やエネルギー関連研究者などとの会議にも出席。自分たちの身近な環境への取り組みが、これだけ世界中に注目され、また高い評価を受けるという体験は、何物にも代えがたいことであろう。また、同世代や彼らに続く世代にとっても刺激になるに違いない。

残念ながらアジア地域最優秀校の栄誉は逃したが、富士見丘のような学校が日本から続々と現れることを強く願わずにはいられない。

*参照:ZAYED FUTURE ENERGY PRIZE

*2015年度(2015年1月授賞式)の応募は締め切られました。次回は2016年度(2015年2月募集開始)になります。募集の詳細はこちら