誰でもカンタンに透視を体験できる方法が発見される

近年「光学迷彩」という技術がときどき話題にのぼる。向こう側が透けて見えるようにすることで、物体がそこにないかのように見せる技術だ。ただ近年話題になっているものは、特殊な素材で物体を覆い、そこに映像を投影してカムフラージュするなど、高価な素材やハイテクを使ったものが多い。

それに対して、ロチェスター大学の研究者が発表した技術は、ごくシンプルだ。それは、ごくふつうのありふれた4つのレンズを使って、対象物を視界から消してしまうというものだ。下の画像のように。

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視点を変えても透視は維持できる

また、これまでの光学迷彩は、真正面から見たときはいいが、視点が移動したときには像がおかしくなってしまうものが多い。しかし、このシンプルなシステムの画期的なところは、見る角度を多少変えても対象物が見えてしまうことはなく、向こう側の像が3Dで自然に見えるというところだ。その見えかたは、下の動画で確認してみてほしい。

この方法には特殊な機械は必要ない。同じ焦点距離を持つレンズを2枚セットで2組、計4枚用意すればいい(ここでは、焦点距離f1=200mmのレンズ2枚と、焦点距離f2=75mmのレンズ2枚を使っている)。

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1.最初のレンズ(f1のレンズ)と、2番目のレンズ(f2のレンズ)を、その焦点距離を足したぶんだけ離して配置する(ここでは、t1=f1+f2にする)
2.残ったふたつのレンズも、同じ距離で配置する(やはりt1=f1+f2)
3.そして、それぞれのペアのあいだ(t2)は、t2=2f2 (f1+ f2) / (f1— f2) だけ離して配置する。

方法はたったこれだけだ。

こんな簡単な作業で、最初のレンズと2番目のレンズのあいだに差し込んだ物体が消えてしまうのである。その仕組みは、下の画像を見ればよくわかる。

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これはレーザー光線を使って、この装置のなかで光がどのように進んでいるのかを可視化したものだ。これでわかるとおり、最初のレンズと2番目のレンズのあいだのある箇所では光が中心の1点だけを通っている。

中心点だけは透視できない

したがって、その1点だけは光を通す必要がある。中心点に物体を置いてしまうと透視はできなくなるのだ。上の静止画や動画で紹介した「透視」は、じつは対象物は中心点を外して配置しているのである。

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「なあんだー」とがっかりするかもしれないが、逆に、その1点さえ光を通せば、それ以外のところに置いた物体は消えてくれる。実際にはそれだけでも十分実用になる場面は多いのではないだろうか。このシステムの研究者のひとりは、たとえば、外科手術のときに執刀医の手の向こう側の患部が見えるようにしたり、トラック運転手の死角をカバーしたりする用途には十分使えると考えている。

なにより誰でも手に入る物で、誰でも簡単にできる方法で実現できるというところがいい。レンズを4枚買ってきて、試してみてはいかがだろうか?

*出典:University of Rochester Newscenter-‘Cloaking’ device uses ordinary lenses to hide objects across range of angles-