移植用の皮膚だって3Dプリンターで出力できる

3Dプリンターといえば、特殊な樹脂を材料にするイメージが強かったが、当サイトでもつい最近紹介されたように、金属を材料に出力するものも出てきた。ところが、トロント大学の研究チームが、さらにおどろくべきものを出力できる3Dプリンターの研究で、「ジェームズ・ダイソン・アワード」のカナダでの勝者に選出されたという発表があった。

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その3Dプリンターで出力できるものとは人間の皮膚である。フェイクではない。移植するための本物の皮膚だ。それも、毛穴、汗腺等まで備えた、十分な機能を持つ皮膚だ。

移植用の皮膚を採取する負担をなくせる

通常、重度のやけど患者を治療する際には、その患者の健康な部位の皮膚を切り取って患部に移植するという手法が採られる。

しかし、皮膚を切り取るわけだから、患者にはやけど以外にも痛みや負担を強いることになるわけだ。この3Dプリンターを使えば、その負担をなくすことができるという。

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この3D皮膚プリンターは、患者自身の細胞をもとにした皮膚をプリントする。したがって拒否反応も起こらない。3Dプリンターのサイズは一般的な電子レンジていどで、移動することもでき、出先で使用することもできる。極端に高額だったり、大がかりな装備ではないため、発展途上国や都市部から離れたところでも使用できそうだ。じっさい、やけどの事故やその死亡率は発展途上国で多いという。

次は国際コンペティションに臨む

2008年からこの開発をつづけてきたチームは、つい最近、実用化一歩手前といえるものを完成させた。カナダでの優勝者となったことで3,500USドルの賞金を得たこの研究だが、次は「ジェームズ・ダイソン・アワード」の国際コンペティションに臨むことになり、勝てば3万ポンド(+1万ポンドが大学へ)の賞金を得ることができる。

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掃除機でおなじみのジェームズ・ダイソン氏が創設した、次世代のエンジニアのための賞は、どんな研究に送られるのだろうか? もっとも、この3D皮膚プリンターが国際最優秀賞を逃したとしても、力を入れて推進すべき研究であることは間違いないだろう。

私はこの分野にうといため、この3D皮膚プリンターの仕組みは理解できず、記事中で紹介できないのが本当に申し訳ないのですが、以下の動画(英語)で解説しているので、興味があるかたはぜひご覧になってみてほしい。

*出典:U of T NEWS -Dyson Award for engineering students who developed way to print skin-Vimeo-PrintAlive Bioprinter-