Google Glassが聴覚障害者に見せる新たなセカイ

以前このFUTURUSで、聴覚障害の有る人が電話をするためのスマートフォンアプリを以下の記事で紹介した。

『聴覚障害者の通話をラクにする音声テキスト変換アプリ』

上の記事では、聴覚障害を持つ人が、電話で話をすることをサポートするスマートフォンのアプリについての紹介だったが、今回は電話では無く、聴覚障害を持つ人が今、目の前に居る人と会話するためのアプリを紹介したい。

Captioning on Glassで会話する

そのアプリはGoogle Glass(グーグルグラス)用アプリだ。目の前の相手が話した内容が、リアルタイムでGoogle Glassに文字として表示されるので、耳が聞こえない人でも相手が話した内容が分かることになる。

このアプリはジョージア工科大学の研究チームが開発した「Captioning on Glass」だ。このアプリによって、Google Glassの新しい利用方法が提案された。

グーグルグラスに相手の話したことを文字で表示する

「Captioning on Glass」は、Google Glassと連動したスマートフォンのマイクが聞き取った相手の発言内容を、リアルタイムでGoogle Glassのディスプレイに表示する。

つまり、相手の発言を瞬時で字幕化するのだ。

Captioning on Glass概念図

この機能を使えば、聴覚に障害がある人がGoogle Glassを掛けていれば、目の前の人が手話や筆談をしなくても普通に話すだけで会話が成り立つ。

「Captioning on Glass」はGoogleが提供している音声認識機能を利用しており、相手の声はGoogle Glassのマイクではなく、スマートフォンのマイクがキャッチしている。

Google Glassのマイクを利用しなかったのは、このマイクはGoogle Glassを掛けている側の人が話す声を拾うための装置だからだ。

なお、「Captioning on Glass」はGoogle Playストアで無料で配信していることも嬉しい。

この「Captioning on Glass」をGoogle Glassとスマートフォンの両方にインストールすれば利用可能になる。ただし、現段階ではAndroidのみ対応だ。

使い方は以下の手順になる。

まず、聴覚障害がある人がGoogle Glassを装着し、ペアリングしたスマートフォンを話をする相手に渡す。

スマートフォンを持っている側は、アプリの「Tap to talk」ボタンを押してから、話しかける。

Captioning on Glassで話しかける

するとGoogle Glassとスマートフォンの両方にリアルタイムで話した内容が文字として表示される。

Google Glassに文字が表示される

なぜスマートフォン側にも文字が表示されるのかというと、変換ミスがあった場合に、発話した側がすぐに修正候補から正しい変換内容に修正できるからだ。

スマホ側にも表示される

この「Captioning on Glass」の開発のきっかけが切実だ。研究チームを率いているジム・フォリー教授自身が耳が遠くなり、不便を感じ始めたからだという。

次は翻訳アプリへ

「Captioning on Glass」の便利さは、聴覚障害者にとってだけでなく、話しかける側にとっても、手話を覚えたり、筆談する手間を省けるというものだ。そのため聴覚障害者側も、相手に遠慮せずに会話を楽しめる。

ただ、一つ問題があるとすれば、相手に自分のスマートフォンを預けるため、信頼関係がなければ気軽に使えないかもしれないことだ。

ところで、研究チームは既にその先を目指している。それはリアルタイムで相手が話している内容を翻訳して字幕化することだ。

既に英語、スペイン語、フランス語、ロシア語、韓国語、日本語への対応を進めているという。

これが実現すれば、異なる言葉を話す者同士でも、Google Glassを装着していれば、お互いに自国の言葉を話していても、会話が成り立つということだ。

「Captioning on Glass」はまた一つGoogle Glassの可能性を教えてくれた。

*画像出典:CoG