自動運転についてトヨタの人に聞いてみた

最新の自動車テクノロジーとして、今、もっともホットな話題が自動運転だろう。

2013年9月のフランクフルトモーターショーにおいてメルセデスベンツは自動運転のクルマを用いてプレスカンファレンスを実施。2014年5月にグーグルは、ステアリングのない自動運転のコンセプトカーを発表。同年10月にアウディは、自動運転のクルマでホッケンハイムサーキットを攻めた。また、同月にコンチネンタルも日本における公道試験を実施すると発表。GMは高速道路限定となる自動運転技術をキャデラックの2017年モデルに搭載するとしたのも話題になっている。

もちろん日本メーカーも自動運転の開発には余念がない。そのひとりであるトヨタも、2014年11月下旬に開催したメディア向けの「トヨタ2014安全技術説明会」において、その進捗状況を報告した。

トヨタの自動運転実験車両

新たに公開されたのは、レクサスGSをベースに自動車専用道路の走行を念頭においた実験車であった。特徴は、これまでの車両の外にあったセンサー類をすべて車両内に納めたこと。

これまでの実験車の頭上に高々とそびえたっていた360度の3Dレーダーを小型化&分割化してバンパー内に納めたのだ。また、将来の市販化を目指した高性能で小型の3Dセンサーを開発。これにより車両への搭載がより現実的になったという。そして、トヨタはテストコースにおいて高速道路走行を模倣した実験を重ねているというのだ。

ちなみに、最新のレーザーレーダーのセンシングの精度は非常に高い。発表会会場に置かれた新開発の3Dセンサーを使ったデモンストレーションでは、会場につめかけた記者の姿が見事にシルエットとして映し出されていた。

新開発された3Dセンサーで説明会会場の記者をセンシングしたモニター

加速度を増す開発競争に現場は何を思っているのか?

そんなトヨタの安全技術説明会において、トヨタの自動運転開発のキーマンであるCSTO補佐製品企画本部の葛巻清吾氏に話を聞くことができた。

トヨタの安全技術企画主査である葛巻氏

「競争が激しくなっています。自動運転に対する期待が、電機メーカーをはじめいろんなところから大きいので。私ら自身も、たまにアメリカで乗ったりすると、この1年間の進歩というのはなかなかものので、“ここまでできているんだ!”と驚きがあります。開発は加速していますね」と葛巻氏。

しかし、自動運転の実用化には、また高いハードルが残っているとも言う。

「自動でやれることはどんどん広がります。でも、どんな場合でもやれますかというと、そうではありません。やれるところだけ見せて、やれないところを見せないのは、非常に危険なところもあります。たとえば雨が激しく降れば制御も変わってきます。普通の人の運転でも変えますよね。そういうことも含めると、まだまだハードルは高い」

90点までいくのは簡単だが、最後の詰めが難しいというのだ。また、技術をクリアした先の問題もある。法律的な問題やマナー、世間一般の認知&合意だ。

「今、いろんなところで議論しているところです。自動運転が実用化されたらどうなるのか? もしかすると最初は事故が増えるかもしれない。でも、最終的には減っていくだろう。そのように、みんな自動運転のポテンシャルは認めているので、誰も反対はしていません。でも、最初に増えるかもしれないところをどう増やさないようにするか? それが世界的に議論されています」

また、どこまでを自動運転とするのか? という問題もある。たとえば、自動運転中は寝ていても良いのか。さらに目の見えない人だけで乗っていてもいいのであろうか?

「それはまさに議論されている、まっさい中です。全体の流れでいうと、なるべくこの技術はつぶさないようにということになっています。たぶん、最終的には、たとえば目の見えない人や酒を飲んでいる人のように、緊急時になにもできない人は、今の技術では認められないでしょうね。そこまでは、そう簡単にはいかない。けれども自動運転中に何かしてても、いいのではないか? と。何分か何秒か手前に、クルマが自動でできませんよといったときに人が運転を代われる状態ならばいいのではないかという話をしようとしています。自動運転=無人運転と思ってしまうと、それはぜんぜん違う話。でも、自動運転技術であれば、かなり実用化は目の前にあると思いますよ。」

葛巻氏のコメントからは、技術に対する自信がうかがえる。すでに高速道路を走る実験車が存在しているということは、2017年のキャデラックとそれほど差のないタイミングでトヨタの自動運転技術は実用化されるかもしれない。そんな感触を得た取材であった。