なぜミドリムシは「炭素循環社会」に必要不可欠なのか?

なぜミドリムシは「炭素循環社会」に必要不可欠なのか?

世界で初めて食用としてのミドリムシ(学名:ユーグレナ)の屋外大量培養に成功した株式会社ユーグレナ。代表取締役社長の出雲充氏に、前回「“ミドリムシ”が地球を救う!栄養豊富すぎるスーパーフード」にてその栄養価の高さ、研究秘話についてお話を伺った。

しかし、ミドリムシにはまだまだ他の魅力がある。それはバイオ燃料をはじめとする、持続可能な“炭素循環社会”に大きく関係しているからだ。そこで今回は、ミドリムシと環境問題について教えていただいた。

 

高濃度の二酸化炭素も酸素に変えてしまう

地球温暖化の原因として、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素の増加があげられるだろう。ミドリムシは、その二酸化炭素から酸素を作り出す能力、つまり光合成の効率が他の植物と比べても非常に優れている。

「ミドリムシを使うと、本当の意味での炭素循環社会を作ることができます。

地球上の炭素の流れというのは、まず地面に穴を堀リ、石油や石炭が出てきます。それを燃やしてエネルギーを取り出そうとすると、それが発電所、製鉄所、ゴミ処理場と、どこであろうと二酸化炭素が大量に出ます。

この一方通行のフローが、産業革命以降ずっと続いたのです。これは何も循環していなく、決して持続可能な社会ではないのです」

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この問題を解決するためには、二酸化炭素を他のものに変えないといけない。しかし、科学的に二酸化炭素から何かを生み出す・変えるというのは困難なのだそうだ。

だが、植物は光合成で酸素を生み出すことができる。しかもミドリムシはその過程で成長し、細胞分裂していくのだからすごい。

「その増えたミドリムシをバイオ燃料にすることができます。当然、バイオ燃料も燃やせば二酸化炭素が出ますが、今度はその二酸化炭素を使ってミドリムシを増やし……と、これが炭素循環社会です。ミドリムシが基点となって、炭素が回っているのです。

空気中にある二酸化炭素の大部分は、石炭火力発電所から出ています。ここから出る二酸化炭素の量はものすごく、空気中の濃度と比べると約300倍。

これは人間だと吸って数秒で気絶して、10秒後に呼吸ができなくなり、30秒で死に至ります。これは動物の話ですが、光合成を行う植物でも300倍となるとさすがに枯れて死んでしまいます。

しかし、約120種類もいるミドリムシのなかには、300倍の二酸化炭素に余裕で耐えられるものもいます。ミドリムシを活用すれば、石炭火力発電所の大量の二酸化炭素も酸素に変え、そしてミドリムシ自体もどんどん増えてくれます。

それを絞るとバイオ燃料ができるわけです。炭素循環社会を目指すには、二酸化炭素を膨大に出す石炭火力発電所をスタート地点とし、そこにはミドリムシのような生き物がいないといけません。

つまり、炭素循環社会をミドリムシで構築する、これは本当にスゴイことなんです!」

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ミドリムシで航空機を飛ばす!

ユーグレナ社は現在、ミドリムシ由来の油を航空機用のバイオジェット燃料にするプロジェクトも進めている。

ミドリムシを培養する際に使用する二酸化炭素は、そのミドリムシによって作られるバイオ燃料から排出される二酸化炭素の量とあまり変わらない。つまり、燃料すべてをミドリムシ由来のバイオ燃料にしてしまえば、まさに炭素循環。二酸化炭素は化石燃料に比べて相対的に増えることはない。

だが、そのバイオ燃料を実用化するためには大きな課題がある。それは“量”だ。

「仮にジェット燃料として使うとなると、とてつもなく膨大な量のミドリムシが必要となります。

今、私たちの工場は石垣島にあるのですが、バイオ燃料用の設備投資も現在計画中です。それこそ見渡す限りミドリムシの培養槽、といった状況でないと」

それでは、実際ミドリムシが作り出すバイオ燃料で、航空機はどれくらいの距離を飛べるのだろうか。

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ユーグレナ社が2005年から培養してきたミドリムシを仮に全てバイオジェット燃料にして、100%ユーグレナバイオ燃料で航空機を飛ばすと4,310km分となり、これは東京から沖縄を約1.5往復できる距離だ。

しかし、栄養豊富なカンパン、つまり食料として換算すると、3億4,483万個となる。こうみると、改めて航空機にはどれだけのバイオ燃料が必要なのかが実感できる。

ユーグレナ社は今後、現在の設備よりも大きなミドリムシの培養槽を、数十億円を投じて建設し、バイオ燃料をジェット燃料として使える社会を築き上げていくことを計画している。

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環境問題、エネルギー問題、そして食料問題と、地球が抱える3大問題を解決すべく、ユーグレナ社が日々続けているミドリムシの研究。

「魔法のように、明日から世界が変わるなんてことはない。地道に続けていくことが大切なんです」と出雲氏は最後に語ったが、持続可能な炭素循環社会は、ミドリムシを基点にたしかに近づいてきている。

 

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