デザインを変えると行動が変わる・・・新しい空港のカタチ

デザインを変えると行動が変わる・・・新しい空港のカタチ

4月8日から、成田空港ではLCC専用となる“第3旅客ターミナル”の営業が開始された。第3旅客ターミナルには飛行機への搭乗口(スポット)が国際線で5つ、国内線で4つあり、コンパクトなターミナルといえる。このターミナルでの年間旅客取り扱い能力は750万人だという。年間の発着回数は5万回だ。

そしてローコストで建設されたターミナルには、LCCらしさを取り入れた様々なデザイン上の工夫がなされている。動線がわかりやすい陸上トラックのような廊下。出発ゲートではガラスを使うことが多い部分に金網を使用し、気軽に利用できる450席のフードコートやコンビニなどが設置されている。

そしてこの陸上トラックのような通路はデジタルを利用したキャンペーンやアプリ開発で有名なクリエイティブラボである『PARTY』が担当し、家具類は無印良品が提供したことも話題になっている。

 

動線に陸上トラックを採用することでわくわく感を

『PARTY』はターミナルの設計段階からデザインに参加しているため、一般的なハコ先行による制約を受けることは少なかったという。

但し、予算はあくまでLCC専用ということでリーズナブルさが要求された。例えば、1個あたり約100万円かかる内照式看板を減らし、横断幕で使われる布素材を採用するなどの大胆なアイディアが活かされている。

このような制約のなかで、いかに旅行客に動線をわかりやすくするか、ということで採用されたのが、第3旅客ターミナルの特徴にも成っている陸上トラック方式の動線だ。

陸上トラック方式の動線

実際に陸上競技場で使用されているゴムチップ制の床材を採用し、旅立つ人は“空側を目指す”ブルーのトラックを、到着した人は“陸側を目指す”ブラウンのトラックで導くようにデザインされている。

このことで、電光表示板などの案内を必要最小限にとどめているのだ。しかもわかりやさだけでなく、ゴムチップ制のトラックは、歩く際の足への負担も小さいため、長時間歩いても疲れにくいという。

また、トラック上の表示も、矢印ではなく三角だけを使っている。

 

無印良品の家具導入では最大規模

第3旅客ターミナルのゲートラウンジには、乗り次ぎ利用が多いことを考慮して、約400台のソファベンチが設置された。また、フードコートは国内空港では最大規模の400席以上で7店舗が出店していて、テーブルと椅子にはオーク無垢材が採用されている。

フードコート

これらの家具は無印良品から導入しており、無印良品が公共建築へ家具を提供した例では最大規模となった。

家具を導入するにあたっては、空港でどのように家具が利用されているのかを調査し、その結果、ゲートラウンジでは肘掛けがなく座面が広いソファベンチがよいと判断された。

ゲートラウンジ

いざとなれば、横になって休むこともできる、ということも想定されたクッションの柔らかさにもなっているようだ。

 

年間750万人の旅行者を取り込めるか

第3旅客ターミナルの初年度旅行客数の見込みは500万人程度だという。設計上は750万人程度の旅行客に対応でき、早期にその人数は達成できるとみているようだ。

既にビジネス利用の客は羽田に取られている状況だが、増加しつつある観光客は、LCCが得意としているアジア近距離路線やそれらへの乗り換え拠点として取り込めると期待されている。

低コストを逆手に取った第3旅客ターミナルのデザインや設計思想が、利用者の評価を得られるかどうか、注目されている。

 

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【参考・画像】

※ Terminal 3