トヨタがメキシコ・中国に新工場を建設・・・動き出す世界戦略

トヨタがメキシコ・中国に新工場を建設・・・動き出す世界戦略

“意志ある踊り場”として、あえて工場新設を2013年4月から3年間凍結していたトヨタ自動車。

2000年代前半に年間70万台規模で生産能力を増やしたものの、リーマン・ショックで需要が急減、赤字に転落した同社はそれまでの安易な拡大路線から距離を置き、収益体質改善に取り組んで来た。

そして2015年4月15日、トヨタは“もっといいクルマづくり”に向けた取組みで一定の成果が得られたとして工場の新設凍結を解除、約1,700億円にのぼる新興国への大型投資に踏み切る考えを正式表明した。

 

新工場の建設・増強へ

発表された内容は、具体的にはメキシコに新工場を建設、アジアでは中国の生産ライン増強を図るというものだ。

TOYOTA_CHINA

これらの投資に際しては単なる“量を求めた工場づくり”から“競争力のある新しい工場づくり”へと大きく発想を転換しているという。

トヨタは2013年以降、既存工場の能力を最大限有効活用する取組みや、モデル切り替え時の設備投資額の低減を進めると共に、工場投資の画期的な低減策の策定などを推進して来た。

生産部門では投資低減による原資を元に、ボディ板金の接合に“レーザー溶接”を導入、溶接効率の向上に加えてボディ自体の剛性アップを図っている。

また成形自由度向上を目的に素材を瞬間加熱後プレスする“ホットスタンプ成形”を採用。

その結果、既存工場の稼働率はグローバル全体で90%を超えるまでに向上、モデル切替え時の設備投資額を2008年当時と比較して約40%も低減できる目途が付きつつあるそうだ。

あわせて既存工場の稼働率を2009年比で20%向上、経営を取り巻く環境が激変する中、同社ではクルマ作りの全てを見直す意気込みで“カイゼン活動”に取組んでいる。

 

メキシコ新工場でカローラを生産(2019年稼動)

メキシコ生産では日産自動車が先行、昨年にはホンダやマツダも相次いで新工場を立ち上げている。

トヨタとしては今後も緩やかな成長が見込まれる北米市場での競争力強化のため、カローラの生産をメキシコ新工場に移管する。(生産能力 約20万台/年、総投資額 約1,200億円)

 

中国の生産能力増強(2017年内)

VWなどが販売台数を伸ばしている中国では広汽トヨタの生産ラインを増設、革新的な生産技術を導入すると共に既存設備の有効活用など、将来の能力拡大を視野に入れた、賢い工場づくりを行う。(生産能力 約10万台/年、総投資額 約525億円)

TOYOTA_CHINA

そしてこれら一連の活動の中核をなすのが『Toyota New Global Architecture(TNGA)』だ。

プラットフォームやパワートレーンユニットを刷新してモデル間で共用、生産を効率化する。

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『TNGA』ではクルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目標に、グルーピング開発による部品・ユニットの賢い共用化を通して20%以上の開発リソーセス削減見込んでおり、今後は地域を問わず全世界で展開、レクサス系でも共用可能な部位にはとりいれていくとしている。

ここ数年間に渡り、世界販売台数で2位の独VWを抑えて首位を維持しているトヨタだが、背後には米GMも含めて年間1,000万台規模の販売力を持つ強豪が首位争奪を虎視眈々と狙っている。

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そうした中で2009年に米国で発生した品質問題を機に台数を追う経営から卒業したトヨタが今後どのように世界で戦っていくのかが大いに注目されるところだ。

 

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【参考・画像】

トヨタ自動車 (もっといいクルマづくり