医療革命!? 3Dプリンターで作る「添え木治療」が子どもの重病を救う

医療革命!? 3Dプリンターで作る「添え木治療」が子ども重病を救う

10年前だったら絶望的だったのかもしれない。しかし、かつては手の施しようがなかった病気をかかえた子供が、新しい技術による対処で元気に生きながらえている。その技術の核となったのが3Dプリンターだ。ミシガン大学ヘルスシステムのウェブサイトが報じている。

 

3Dプリンターで気管の“添え木”を作る

気管気管支軟化症という病気がある。重度のケースでは、気管が一時的につぶれてしまい、呼吸ができなくなる病気だ。少し前まで治療法はなく、生き延びることが非常に難しい病気だった。

Kaibaくん、Garretくん、Ianくんの3人もこの病気の患者だ。Kaibaくんは、生まれてまもなく酸欠で青くなった。ギャレットくんは生まれて最初の1年を病院のベッドで人工呼吸器につながれて過ごし、栄養は静脈を通じて摂取した。食べ物をうけつけられる身体ではなかったからだ。イアンくんは、6ヵ月になる前にいちど心停止を起こした。

その3人は、世界で初めてこの治療を受けた。3Dプリンターで、生体吸収性の“添え木”を作り、それを気管に埋め込む手術を受けたのだ。彼らに人工呼吸器や、鎮静剤、麻酔薬は必要なくなり、免疫不全を引き起こすタンパク質からも解放されたことで、食物を摂れるようになったため、静脈からの栄養補給も必要なくなった。

“添え木”は、レーザーを使った3Dプリンターを使って、気管のCTスキャンデータから直接作られる。添え木は、気道の周囲に、気管と気管支をを広げるように縫合されるとともに、適切な成長をするような骨格も与えられる形になっている。

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“添え木”は組織に吸収されていく

そして添え木は、やがて身体に溶け込んで吸収されるようになっている。気道の成長は、CTとMRIの検査によってその後も観察され、3人のケースでは順調に気道の成長をうながしていることがわかった。

3歳になるKaibaくんは、プレスクールに通う、健康で活発な子になっている。2歳半になるギャレットくんは、人工呼吸器が不要になり、笑いをふりまくエネルギッシュな子供になった。17ヵ月のイアンくんはお兄さんと遊ぶこととハイ・ファイブが大好きな笑顔の目立つ子供になった。

3Dプリンターによる“添え木”治療は、いずれの子においてもいまのところ問題は発生していないという。

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しかし、この治療は、FDA(アメリカ食品医薬局)の緊急認可で可能になったものだ。論文の執筆者は、このレポートが、この治療法の安全性を保証するものではなく、潜在的な問題がまだ明確になっていないだけかもしれないという。

彼らには、ほかに方法がなかったから認められた治療なのだろう。しかし、この成果は大きい。

3Dプリンターとバイオ技術の進歩、そしてその融合は、少し前には考えつかなかったような病気の治療法を可能にしつつある。そしてその進化のスピードは驚くほど速い。まもなく医療大革命の時代が来るのかもしれない。

 

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【参考・画像】

※ University of Michigan Health System