雨水管理の「グリーンインフラ」建築プラン

雨水管理の「グリーンインフラ」建築プラン

突発的で局地的なゲリラ豪雨や台風に注意が必要な季節だ。こうした雨水の効果的な処理は地域コミュニティを守るために不可欠な取り組みとなっており、先進国も含め大きな課題となっている。大量の雨水は川や湖を汚染することで人間の健康や環境にとって脅威となり、下流域では甚大な洪水被害をもたらす危険性があるのだ。

近年では、土壌や植物など自然の仕組みを積極的に街づくりや建築プランに活かした『グリーン・インフラストラクチャー』の重要性が取りざたされているが、雨水処理でも幅広い導入が期待されている。アメリカではつい先日、学生チームがこの分野におけるグリーンインフラのデザインを競わせる『キャンパス・レインワークス・チャレンジ』2014年度受賞者が発表された。

 

雨水をマネージメントするグリーンインフラの設計プラン

アメリカ環境保護庁(EPA)が主催し、2015年で3回目となった『キャンパス・レインワークス・チャレンジ』は、学部生および大学院生のチームが、キャンパス内で雨水をマネージメントするグリーンインフラの設計プランを競わせる年次コンペ。参加チームは、大学コミュニティや環境のためになる自然を利用したプランをデザインし、優れたプランには賞が与えられるという。

コンペはマスタープラン部門、実証プロジェクト部門という2つのデザインカテゴリーで実施。マスタープラン部門では、キャンパスの広範なエリアでグリーンインフラがどのように組み込まれているかが、実証プロジェクト部門ではキャンパス内の特定の場所での設計案が審査される。

 

雨水が『トリートメント・トレイン』に流れ込むよう方向づけ

実証プロジェクト部門で最優秀賞を受賞し、高く評価されているのがメリーランド大学カレッジパーク校のチーム。彼らのデザインは、大学内のメモリアルチャペルに隣接する7エーカーの敷地に焦点を当てたものだ。この敷地は沈殿物が過剰なほどあふれ、水浸し状態であることが問題となっている。

隣に位置する駐車場から流れてくる雨水を集め、処理する方法を検討したチームは、既存の雨水管の利用を中止し、一年間の降雨に100%対応できるグリーンインフラの『トリートメント・トレイン(複数の方法を用いて行う一連の雨水処理)』に流れ込むよう方向づけることで一帯をリデザインする案を提案。

このデザインでは従来型の芝生エリアを、レインガーデンや階段状の植え込み、浸透池、さらには植物や微生物を利用して雨水の量や水質をコントロールする『バイオリテンション(Bioretension)』の仕組みを導入した、草地のような新たな景観に置き換えている。一帯は、花粉の媒介者や有益な昆虫種の棲みかであり、かつ課外授業や大学を訪れた人が観照するのにふさわしい、静かな場所になるということだ。

なお、実証プロジェクト部門の2位はニューヨーク市立大クイーンズ校、マスタープラン部門の最優秀賞はイリノイ大学シカゴ校、2位は同大学アーバナ・シャンペーン校のチームが受賞した。地域環境に多様な利益をもたらすグリーンインフラへの取り組みは、今後さらに大きなものになっていくのではないだろうか。日本でも運動が広がっていくことに期待したい。

 

【関連記事】

※ 世界初!藻類を利用した「バイオデジタル」キャノピーがエコ建築の新時代を築く 

※ Guy Hollaway Architectsは世界初の「複層階式スケートパーク」を提案

※ エコ&コスト1億円削減の「オンサイト発電」でJ- オイルミルズの食用油はどうなる?

※ ノー・シャドウ・タワー?反射光を利用し「影を消してしまう」高層ビル

※ 次世代の「空に浮かぶ風力発電」革新が招く様々なメリットとは

【画像・参考】

※ University of Maryland Named Winner of EPA Campus RainWorks Challenge