「脳直結操縦ロボットアーム」がなめらかで正確な動きを実現!

「脳直結操縦ロボットアーム」がなめらかで正確な動きを実現!

脳波だけで、さまざまなものをコントロールするという設定は、SFではよく見られる。しかし、現在、脳波というのは意外と研究が進んでいる分野で、脳波による義手のコントロールなどは、現実的に可能になってきたようだ。

南カリフォルニア大学ケック医学校のウェブサイトでレポートされた研究だ。

 

従来とはちがう脳の部位を使う

患者であるErik G.Sorto氏は21歳のとき、銃で受けた負傷によって首から下が麻痺した。しかし彼は、いま頭で考えるだけで動かすことができるロボットアームを使うことができるようになった。

ロボットアーム2

現在34歳の彼は、南カリフォルニア大学ケック医学校とカリフォルニア工科大学、そしてロス・アミーゴス国立リハビリテーションセンターによる新しい神経制御義手の適用を受けたのだ。それによって、スムーズな握手の動作ができるようになり、飲み物を飲めるようになり、じゃんけんさえできるようになった。

Sorto氏の頭の中にはセンサーが埋め込まれている。こういう手法は初めてではない。しかし、従来の神経制御義肢のセンサーは、脳のなかの運動をつかさどる一次運動野に埋め込まれていた。ところが、その方法だと動作には後れが出て、しかもぎこちなかった。

そこでSorto氏のケースでは、一次運動野ではなく後部頭頂皮質にセンサーを埋め込む試みが試された。運動を直接つかさどるのではなく、運動を“決意”する部位だ。この方法で、カリフォルニア工科大学の研究チームはよりナチュラルでスムーズな動作を実現したのだ。

RObotic_Arm02

 

脳とコンピューターをケーブルでつなぐ

手術は2013年4月に南カリフォルニア大学ケック病院で5時間かけて行われた。ふたつのセンサーを脳の後部頭頂皮質に埋め込む。ひとつは腕を伸ばす動作、もうひとつは手を握る動作をコントロールする。それぞれ96個の電極を持つ4×4mmのセンサーで、後部頭頂皮質を伝わるひとつひとつのニューロンの活動を検知できる。

そのセンサーはケーブルでコンピューターシステムにつながれている。そこで信号を処理し、脳の指令をデコードし、コンピューターのカーソルや義手といった外部デバイスを操作する。

RObotic_Arm03

センサーは小さいものだし、埋め込みは非常に精密な作業が要求される。人間の脳のこの部位になにかを埋め込むというのは初めての手術になるので、すべてが難しかったという。

手術から16週間後、Sorto氏はトレーニングを開始した。動かすことはすぐにできたようだが、その後何週間もかけて動作を上達させていき、さまざまな作業ができるようになっていった。

麻痺をした状態で10年以上を過ごしてきたSorto氏は、この結果に興奮している。

この研究は、僕にとって、非常に有意義です。プロジェクトが僕を必要とするかぎり、僕自身もプロジェクトを必要としています。このような四肢麻痺の患者の生活を改善するような技術革新に関わることができて、本当に嬉しいです。

僕はよく仲間にこんなジョークをいうんです。「自分のペースでビールを飲めるようになりたいもんだよ。誰かに飲ませてくれと頼まなくても、飲みたいときに飲みたいだけチビチビとね」って。ホントにそういう自由に憧れるんです。もし問題がないのなら、自分でヒゲをそりたい。歯も磨きたい。それができたら、どんなに素晴らしいでしょう

RObotic_Arm01

もちろんまだ動作には限界があるだろう。しかし、まったく手足が動かせなかったひとが、簡単な動作であれ、自分の意志でできるようになるとしたら、どんなに大きなできごとだろうか。

そして脳波研究やロボット工学は今後さらに発展していくだろう。こういった技術革新がさらに進んでいくことに期待したい。

 

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【参考・画像】

※ Keck School of Medicine of USC