太陽光パネルで発電したエネルギーを数週間残せる新技術

植物の光合成からインスピレーション

研究結果は6月に発行された学術誌『Science』に掲載された。論文の筆者、UCLAで化学の教授を務めるSarah Tolbert氏は、植物が光合成でエネルギーを集める方法から、この新たなデザインのインスピレーションを受けたそうだ。

光合成で植物は、電荷を素早く分離させるために細胞の中にあるナノスケール構造を使うことが知られている。Tolbert氏は、この過程では正電荷を持っている分子から電子を引き離し、その分子はそのまま残され、そして正の電荷と負の電荷は離れたままに保たれると説明している。

太陽光からエネルギーを集めるため、従来の太陽電池は高額な素材であるシリコンを使うことが多かったようだ。近年ではコストを抑えられるプラスティック製の太陽電池が増えているが、プラスティックは電気エネルギーになる前に相対的に正の電荷と負の電荷が再結合することが多く、効率が悪いとされている。

今回発表された新しいシステムは、電荷を数日から長くて数週間離しておくことができ、構造さえ正しければエネルギーの維持を著しく改善することができるのだ。

 

電子が再結合することを防ぐ構造

システムを働かせるのは、ポリマーのドナー(電子供与体)とフラーレンのアクセプター(電子受容体)という2つの構成部分。ドナーが日光を吸収し、電子をアクセプターに渡す。これが電子エネルギーを集める方法だ。

有機薄膜太陽電池といったプラスチック素材は、一般にお皿の上のパスタのように組織されるのが普通だという。すなわち、長く、細いポリマーの“スパゲッティ”のデタラメなかたまりと、ランダムに点在するフラーランの“ミートボール”のような。しかしこの状態では、電子がポリマーのスパゲッティの中に戻り、行方がわからなくなってしまうことがあるんだとか。

今回のUCLAのテクノロジーでは、先ほどの例えを使うなら、調理前のスパゲッティと適切な場所に配置されたミートボールのように整然と構成。いくつかのフラーラン・ミートボールはスパゲッティの束の中にデザインされる一方、その他のミートボールは外側に留まっている。構造の内部のフラーランはポリマーから電子を受け取り、外側のフラーランにそれを渡すという方法によって、電子を数週間にわたり効率的にポリマーから離しておけるのだ。

太陽光パネルで発電したエネルギーを数週間残せる新技術

従来のものよりも環境面への配慮という面でも優れているという今回のテクノロジー。研究チームは現在、このテクノロジーの実用化に向けて取り組んでいるとのことだ。もしかすると新世代のソーラーパネルが登場する日はそう遠くないのかもしれない。

 

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【参考・画像】

※ http://newsroom.ucla.edu/releases/ucla-chemists-devise-technology-that-could-transform-solar-energy-storage

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