電気バス完全走行プロジェクト、2025年はオランダ全土に

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公共バスはすべて電気バスに

ドイツとベルギーの国境を持つオランダ東南部のブラバント地方、そして南部リンブルグ州で、電気バス走行のプロジェクトが進められている。バスはボルボ社とジーメンス社の共同開発によるもので、給電方式は電気自動車と同様、充電のためのインフラ・システムが運行ルート上に網羅されることになる。

実は、今年に入ってオランダの環境庁は、国内における公共バスすべてを2025年までに電気バスに差し替えると宣言したばかりなのだ。電気バスへの切り替えが、地球に温室効果をもたらす排ガスの削減に献上することはいうまでもないが、走行時に必要な燃料もエミッション・フリーかつ省資源に徹底するという。すでにこの案は、環境庁長官のシャロン・ダイクスマ氏により提議され、議会でも可決されているため、実現化は確定したといえるだろう。

 

実現化は容易

電気バス走行に使用されるエネルギーには、ソーラーパネルによって集められた太陽光、および風力による発電が使用される。環境や人にやさしいのみならず、電気バスの普及は、将来的に多くのメリットをも生み出すとみられている。たとえば、各バス会社が積極的にエコなバスの開発に取り組む現象が起きるのは必然的であるだろうし、画期的な新技術の開発が進むことも予測される。また、各社がいい意味での「好環境作りへの競争」を行うことにより、エコ化がさらに促されるだろう。

電気バスがオランダ全国を網羅し走るこの計画だが、実現化は比較的、簡単と隣国諸国から見積もられているという。その所以は、国土が狭いため(オランダの国土は日本の九州とほぼ同面積)、全国規模での同時実現がたやすいだろうと考えられているからだ。

 

インフラシステムに関して

しかし、スムーズな走行に欠かせない、充電スタンドのインフラ整備に関してはどうだろう?となると、「国土が狭いのだから、長距離運行の必要もないだろうし、ちょくちょく充電すればいいのでは?」と、考えられなくもない。しかし、乗客を目的地まで運び届ける任命を持つバスが、ちょくちょく電気切れを起こしてストップばかり、というのでは、なんとも情けない。この問題を解決するため、各バス会社では、充電時間の短縮化やインフラ整備の充実化を、今後第一の目標に掲げていることはいうまでもない。現在、ブラバント地方で行われたテスト運行で判明したことは、片道約5キロの路線を走行速度40キロほどで10回ほど往復する程度ならば、1回・5時間の充電で蓄電量をまかなえるという。ちなみに充電に関しては、各バス停での停車中にバスの屋根部分に設置された接続システム及びケーブルによる接続で充電を行うという。

 

電気バスのメリットとは?

電気自動車と同様に、電気バス走行のメリットはまだある。そのひとつが、走行時の静寂さだ。前述したオランダのブラバント地方やリンブルグ地方では、街中はもちろんだが閑静な住宅地内を走る道路もバスの運行ルートに入っているため、走行時の騒音がほぼ、ないことは非常に好ましいとされる。その反面、たとえばエンジンの音が静かすぎ、バスの接近に気づかない歩行者が交通事故に巻き込まれることも憂慮されており、耳障りにならないようなクラクションの搭載などをはじめ、どのような解決策が出されるのかに注目が集まっている。

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また、トランス・ミッションが不要になるため、バス車体の床下で使用されるべき機械部分が不必要になることから、車体が低くなり、乗降も簡単になる。そのため、特にお年寄りや車椅子を使用する人たちにとっては乗降がしやすいメリットもある。それだけではない。電気バスにはもっと利用価値がある。たとえば災害時などで電気が必要となった場合、充電されたバス自体を、緊急用電源として利用することも可能になるので、交通事故や火災、そして救急時などに活躍するであろう電気バスに、さらなる期待がかけられている。

 

バスだけではない!あと9年で・・・

全国的にこうした電気バスが完全運行されるのは2025年からだが、実はオランダでは、さらに驚くべき法案が議会で可決される方向にある、とみられている。それは、2025年までに電気自動車以外の自動車の販売を法によって禁止するというものだ。これがもし実際に可決されるとなれば、現在のガソリン車もディーゼル車も、ハイブリッド車でさえも、すべて排気ガスを排出する自動車として消滅対象になるわけだ。この法案と連動するかのごとく、オランダではすでに電気自動車が、国内全登録自動車の約10%に上っているとされる。【CBS(Centraal Bureau van Statistiek):オランダ中欧統計局・2015年調べ】この法案がもし可決されることになれば、世界で初の「電気自動車大国」としてその名を最初に馳せることになることは間違いないだろう。

 

【参考】

※ ABB in consortium voor open laadprotocol elektrische bussen – DuurzaamBedrijfsleven.nl