「飾り窓」からヘルパーまで、オランダのロボット事情

オランダといえば、「自由の国」と呼ばれ、なおかつその印象が強い。何が自由なのか?というと、「売春」「麻薬」「安楽死」などが、他の国と違って法的に「可能だから、と推し量ることができるからではないか。とはいうものの、何から何までまるで自由、ということはなく、ある一定の規則や基準が存在することは言うまでもない。
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2050年までに登場?飾り窓専用ロボット

たとえばこの「売春」に関してだが、首都アムステルダムの「飾り窓」は、世界に名だたる合法売春地帯として知られる。しかし、この地帯の様相も時と共に変化していく気配があるようだ。たとえば、2050年までには、ロボットがこの地帯で接客することになるのではないか?と、各国のロボット研究者たちは見積もっているのだ。はたして、これは実現するだろうか?

こうしたある種の社交・接客の場で、ロボットを人間の代わりに登場させることには、確かにメリットがあるかもしれない。たとえば、この飾り窓地帯にロボットが導入されれば、細菌による疫病の蔓延を防げるのではないだろうか。また、現在この地帯に勤務している人たちは、東欧から出稼ぎが多い。中には、不法滞在で勤務することを強制されている人もいるというが、こうした過酷な条件の元で働く人びとの人権を守るためにも、ロボットの導入は好ましいとされている。

また、ロボットを利用する側も、たとえば、「売春宿へ行ってくるよ!」とパートナーに堂々と告げることができるようになるのではないか、と考える人たちもいるようだ。将来、ロボットの導入によって、ホンモノの女性ではなく「ロボットとゲームをしてきた」、という感覚が定着すれば、飾り窓に行くこと自体に後ろめたさを感じず、パートナーも納得してくれるだろう、というのである。いささか、我が身に都合のよい考え方ではあるが、時代の流れによって何事も変化する、と思えば、ありえない話ではないだろう。

 

理想のタイプは「ロボット」、になる?

また、イギリスのWibnet社が行った昨年のリサーチ結果によれば、18歳から34歳までの一般男女1,000人にアンケート調査を行ったところ、2036年までに人間は、ロボットとデートすることもありうると答え、そのうち26%は大賛成と答えている。

大賛成の理由としては、「ロボットは人間のように複雑な感情を有してないので、つきあう場合、無駄に気を遣う必要がない」、「結婚や婚約などの制約がないので気軽につきあえる」「ホンモノの人間で、外見も正確も自分の好みにピッタリの人を見つけるのは難しいが、ロボットなら簡単に選ぶことが可能になるのではないか?」などなど、こちら側の希望する条件をすべて満たしてくれるためにも、ロボットが必要不可欠になる時代が到来するのも夢ではないだろう。

 

多くのメリットが見込めるロボットの導入

人間の思うように動き、ミスなく仕事をこなす使命を担ったロボットが、オランダでは昨年から病院で利用されている。ロッテルダム市にあるエラスムス病院では、使用済みのベッドや車椅子、カテーテルを下げる医療機器などの洗浄をロボットに任せている。病院で使用されるシーツや毛布など、個々の寝具の洗浄ならともかく、ベッド全体を衛生的に保つため、十二分に洗浄するには、やはり人間の手に余る。そこで、洗浄ロボットに任せるのが最適と同病院は判断し、導入に踏み切った。

しかし、人間が行うべき作業を代行させる目的だけで、これらの専用ロボットを利用しているのではないとしている。たとえば、ロボット導入前までは、特殊な薬品・薬剤を数種類も使い、人の手で洗浄が行われてきた。しかし、この洗浄ロボットならばベッドごと熱湯にくぐらせ、バクテリアを洗浄機の中で100%消滅させることができ、衛生面でも完璧を期すことができる上、洗浄用の化学薬品・薬剤の節約にもつながる。こうした化学薬品・薬剤に耐えうるバクテリアが病院内で増加している問題さえも、一気に解決できる好先例として、このロボット洗浄は他の病院でも利用が見込まれている。

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現在、実用化に向け注目度が高いロボットのひとつに、アルツハイマー病患者とその家族のためのミニ・ロボット「Tiny Robot」がある。これは、アルツハイマー病患者専用のロボットで、患者のための日課1日のプランを穏やかな声によって知らせてくれるものだ。これは、たとえば朝食後にテレビを見てから投薬する、そして読書をする…といった1日の予定を、患者たちが忘れてしまわないよう、心配りをしてくれるロボットだ。「そんなこと、家族や介護士がすればいいじゃないか」という声もあるかもしれない。

しかし、患者と同居する人たちにとっては、それこそ24時間中、ずっと目が離せないとなれば、ついついスケジュールの一環を忘れてしまうこともあるだろう。そんなとき、このロボットが部屋の片隅で患者に対し穏やかに話しかけてくれれば、介護する者たちにとっても手間が省け、他の用事が行える余裕が持てるだろう。このロボットは将来的に、患者の心の動きをも読み取る性能も搭載される見込みで、患者の家族の負担を少なくする効果に期待がかけられているという。

現在、人びとはロボットというと「人の形をした機械」、「非人間的」、「モノ」といった感覚しか持ち合わせていないかもしれない。しかし将来、ロボットによって精神的に満たされるようになる時代が来た場合、人びとはきっと彼らに対し同胞のような感覚を覚えるようになるに違いない。果たしてそのとき、どのようなロボットが存在しているのだろうか? 興味は尽きない。

 

【参考】

※ Wibnetによる「ロボット・デート」関連記事

※ アルツハイマー患者用ロボット関連サイト及びビデオ

※ Tinybots on Vimeo