おりがみロボットが、多くの命を救う!

手術の救世主に?

もしあなたの子どもが、腕時計用の小さなバッテリーを飲み込んでしまったら? 胃に慢性的な痛みがあるから検査したら、どうやら潰瘍ができているらしい。どうしよう?と駆け込むのはまず医者か病院だが、その先に待っているのは手術……。ああ、イヤだなあ……。

しかし、これさえあれば、将来はそんなに手術を怖がる必要もないかもしれない。

世界の科学者たちが研究を重ねて開発した極小ロボットが、体内に入って執刀役を引き受けてくれることになるかもしれないからだ。このロボット、Origami Robot(折り紙ロボット)と呼ばれ、その名のとおり、原材料は人体にもやさしい紙で出来ているという。この極小ロボットが近い未来、多くの人びとの命を救ってくれることに世界中から期待がかかっているのだ。

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この、おりがみロボットの本体は、普段は3センチほどに小さく折りたたまれており、小さなカプセルの中に入れられている。これを体内に入れる(飲み込む)とカプセルが溶けてロボットが作動し、患部の治療を適切に行なってくれるというわけだ。

ロボットにも数あれど、体内に入って手術を行なってくれるとは奇想天外であり、かつ非常に実用的だが、アメリカ・マサチューセッツ工科大学のリサーチャー、ダニエラ・ルス氏によると、体内に入れるのこそ容易であれ、このロボットを自由自在に作動させるのは非常に難しいとのことだ。

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Source:Mit News

 

どのように作動するのか

おりがみロボットは、2つの層で製作されている。内層には、バイオマス(植物)資源から製造される、バイオマス・プラスチックが使用されており、これが体温で温められると大きくなって、外層を覆っているカプセルを破り、作動が開始されるという構造になっている。ちなみに、このロボットの本体もカプセルも、体内の微生物よって分解され、水と二酸化炭素に分解される生分解性を持っているため、人体にもやさしいのが特徴だ。

それでは、このロボットをどうやって動かすのか? 実は、このロボットは磁石の力を借りて作動する仕組みになっているのだ。ロボット本体には小さな磁石が設置されているので、これを動かすために強力な磁石を駆使しながら、体内のロボットを動かすというわけだ。

科学者たちは現在、このロボットが正確に作動するか否かを調査するために多くの研究や実験を重ねている。たとえば、ゴムでできた胃のモデルの中に小さなバッテリーを入れ、どのようにロボットがそれをキャッチするかを観察するリサーチを行なった。レモン・ジュースと水を使用し、胃の内部とほぼ同じ環境を再現したその胃の中で、ロボットは見事に適切な処置を行ったということだ。

世界中では、1日に何千人もがバッテリーを飲み込んでしまう事故を起こしている。たとえばオランダやベルギーでは、腕時計用のバッテリーを飲み込んだ幼児が死亡する事故があとを絶たない。幼児や子どもにとって、このようなバッテリーは即、取り除かなくては命に関わるのだ。こうした事故から子どもを助けるためにも、このロボットの活躍には期待がかけられているといえよう。

上記のような国ぐにでは特に、このおりがみロボットの需要は非常に高いと思われる。多少、複雑な手術を要するとなれば、病院のたらいまわしをされることも否定できない状況があったとしても、ロボットが常備されているのであれば、ほぼ確実に作動して、多くの人の命を救えるのではないだろうか。

ロボット医療の先進国ともいうべきアメリカでは、ロボットによる手術実施数は確実に増加しているという。ロボットによる手術の最大のメリットとして、切開部分(傷)を小さくすることがあげられる。人の手では不可能な細かな動きでもロボットなら行なうことが出来るので、傷口を小さくする手術も可能なためだ。このため、出血量がおさえられるので、すみやかな術後の回復も見込まれるというわけだ。

外科手術用のロボットで、日本でも有名なものに、アメリカの「ダ・ヴィンチ」がある。腕(アーム)は3本、内視鏡用の腕が1本、小さな開口部分にこれらアームを入れ、患部への手術を可能にした精密なロボットだ。操作を行なうのはもちろん医師だが、人間には非常に難しい、細かい動きもロボットなら可能にするため、医療の場での活用にもめざましいものがある。

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日本でもこのダ・ヴィンチは2009年に使用認可が下り、積極的な導入が進んでいるときく。こうしたロボットが医者の代わりに執刀することの最大のメリットは、医師をあえて選ぶ必要がなくなることではないだろうか。つまり、医師の腕に関わらず、均一化された医療体制に誰もが安心して従うことが可能になるというわけだ。

たとえばオランダなどでは週末に、駆け込んだ先に執刀可能な医師がいないことから、適切な処置が受けられず、治療を待たされたりすることもある。上記のような子どもの誤飲事故が起きた場合、たとえ数時間であっても、待たされるとあればそれこそ命に関わる一大事だ。そんなとき、このようなおりがみロボットがあれば、それこそどれほどたくさんの命を救うことになるだろうか。小さくても大きな成果を生み出す、この「ロボット外科医」に対する、将来ヘの期待は尽きない。

 

【参考:画像】

※ Scientias

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