最新の発電デバイスで、電力だって体温で自給自足する時代?

Vashaee-heat-harvesting-HEADER-992x558

source:https://news.ncsu.edu/2016/09/wearable-teg-heat-harvesting-2016/

 

地球温暖化を防ぎたいと思っているいっぽうで人間は体温を空気中に放出している。しかも健康のために運動なんてしようものなら、じっとしているときよりずっと空気を温めてしまっているのだ。なんだかむなしい……。

しかし、そんな体温を、電力として回収できるデバイスが研究されている。もちろん回収するのはほんのちょっとなんだけど。

 

従来より高性能かつ小型に

この手の研究はこれが初めてというわけではない。しかし、今回紹介するデバイスは、以前のものよりもかなり性能が上がったようだ。ノースカロライナ州立大学の研究チームによる発表である。

これは、体温を回収して電力に変え、ウェアラブルデバイスを動かそうという目的の装置だ。試作品は軽量で身体にも不快でない形状を実現し、発電性能も上がっているという。

「ウェアラブル・サーモエレクトリック・ジェネレーターズ(TEGs)は、体温と外気温との差を利用して電力を生み出します」とDaryoosh Vashaee准教授はいう。

「以前のモデルでは、大きくて重くて硬いヒートシンクを利用して、1平方cmあたりせいぜい1マイクロワットくらいしか発電できませんでしたが、われわれの新技術では、最大で1平方cmあたり20マイクロワットの発電ができます。そして、ヒートシンクを使わないので、軽くて快適です」。

Vashaee-heat-SIDEBAR_with-Haywood

source:https://news.ncsu.edu/2016/09/wearable-teg-heat-harvesting-2016/

 

このデバイスは、まず熱伝導素材を皮膚にあてる。そして、その熱伝導素材の上は熱が空気中に拡散するのを防ぐポリマーの層でカバーする。そうして、体温は、中央に配置した1平方cmのTEGの部分だけを通過するようにしておく。電力に変換されなかった熱は、TEGを通って外側の層に伝わり、すみやかに拡散される。これらすべてのシステムで、厚さは2mmに収まり、そして柔軟性も持っているという。

「この試作品ではTEGは1平方cmですが、デバイスが必要とする電力に合わせて、もっと大きいものを作ることは簡単にできます」とVashaee准教授はいう。

 

装着するのは上腕が最適

また、研究チームは、体温を回収するのには上腕部が最適であることも発見した。手首周辺のほうが皮膚の温度は高いのだが、形がイレギュラーなため、TEGのバンドを皮膚にあてる面積がとれない。また、胸は通常シャツで覆われているので風が通らず、熱の拡散が制限されるので、向いていないという。

ただし、研究チームは、TEGを組み込んだTシャツは作ってみた。そうしたところ、TEGを組み込んだTシャツは1平方cmあたり6マイクロワットの発電能力があったという。さらに装着者が運動すれば、16マイクロワットまで発電できた。

「TEG内蔵Tシャツは、現実的なウェアラブル技術になりえますが、上腕のバンドほど効率よくはないですね」とVashaee准教授はいっている。

この研究の目標は、心臓発作の経過観察や、喘息の発作を予防するために肉体的、環境的な変化をモニターするといった、長期間の健康モニタリングを行うために、バッテリーに頼らずに作動することができるデバイスを作りたいのだという。

 

このサイトでも紹介したことがあるが、小さなセンサー類が必要とする電力は少なくなってきている。そしてワイヤレス技術が進んでいる。あとは、小さな電力を、自然や生体から回収することができれば、さまざまなモニタリングがバッテリーレスで可能になる。

こういった技術の進化によってIoT化が加速し、さまざまな小型センサーによるモニタリングが行われる世の中になっていくかもしれない。そもそも体温を空気中に捨てているなんてもったいない話だ。回収できれば、なんとなくお得な気になるというところも魅力的だろう。

 

【参考・画像】

※ Lightweight, Wearable Tech Efficiently Converts Body Heat to Electricity – NC State University