ロボット船がアムステルダムの交通を変える

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MIT SENSABLE City Lab / AMS Institute

 

自動運転の試作車が地上で注目を集める中、水の都、アムステルダムでは2017年、自動走行のロボット船の最初のプロトタイプが運河にお目見えする。人や荷物を運んだり、水質をモニターしたり、いかに都市生活の機能と質を向上できるかを実際の都市空間で実験する世界発の大規模な研究となる。

「ロボート(roboat)」と命名されたこのプロジェクトは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)と、オランダの先端都市ソリューション研究機関、AMSインスティテュートの協同研究計画。5年間の研究に2500万ユーロが投じられ、米マサチューセッツ工科大学、オランダのデルフト工科大学、ワーへニンゲン大学研究センターの研究者たちがさまざまなタイプのロボット船の建造と実験に携わる。

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MIT SENSABLE City Lab / AMS Institute

 

「想像してみてください。自動走行の小船からなるロボット船団が人を運び、荷物を運搬する。これらはまた必要に応じて、1~2時間で組み立て・解体可能なオンデマンドの橋やステージにもなる……」

そうアイデアを語るのは、当プロジェクトを率いるマサチューセッツ工科大学センサブル・シティーラボのカルロ・ラッティ所長。2012年のワイアード誌『世界を変える50人』にも選ばれた、テクノロジーと未来の都市環境の専門家だ。AMIインスティテュートではアイデアの具体例として、ラッシュアワーやフェスティバルなど都市の人口が急増するピーク時に、水上の新しいインフラ、テンポラリーなプラットフォームとしての使用を挙げており、実現すればアムステルダム市民の移動方法や暮らしを大きく変えるものになりそうだ。

ロボット船はまた、運河の水質をモニターし、公共衛生、公害などのデータを集める環境センサーの役割も担う。潜水タイプのものでは感染病の蔓延を早期に察知、食い止めるという使い方も考案されている。ほかにも、現在アムステルダム市が抱える、運河に落ちてしまったゴミや自転車(年間12,000台!)の回収の問題も、ロボット船を使ってより効率的に行える方法を模索するという。

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MIT SENSABLE City Lab / AMS Institute

 

このロボット船の実験空間となるのはアムステルダムだが、プロジェクトの目的はそこで得られる知見を世界の多くの都市に役立てることだ。ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京……世界の都市の大部分は海や河川の水辺に発達し、今日に続いている。運河に落ちる自転車はアムステルダムほど多くはないだろうが、海や河川のゴミ、汚染や公害、都市の過密とスペース不足、渋滞といった問題はどの街にも共通している。これらの都市問題を解決する有用なソリューションとして、また、そこに暮らす人間のモビリティから環境までを刷新するテクノロジーとして、ロボット船プロジェクト、ROBOATは今、国際的な注目を集めている。

 

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※ MIT SENSABLE City Lab / AMS Institute