思いがけない方法で効率を倍増する新型の家庭用太陽光パネル

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太陽光発電の効率はけっして高くない。それを改善するために、太陽光パネルのエネルギー変換効率を高める研究が、世界中で行われている。そのなかでこれはちょっと変わった手法だといえるかもしれない。光学的な方法で、太陽光発電の効率アップを実現するのだという。スイスのローザンヌ工科大学(EPFL)から生まれたスタートアップ企業の研究で、同校のウェブサイトで紹介されている。

 

レンズで光を集める

通常、市場に出回っているソーラーパネルのエネルギー変換効率は18%から20%ほどだ。ところが、このスタートアップ企業Insolightが試作したソーラーパネルは、36.8%にのぼるという。面積あたりの発電量は約2倍にもなるというわけだ。

どのようにしてそんな高効率の発電を実現しているのか。それは、太陽光を集めるレンズの効果を持つ、フラットで薄いプラスティック製の透明パネルがカギとなる。そうやって、非常に高性能なソーラーセルに光を集めてやるのだ。

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じつは、エネルギー変換効率42%という高性能なソーラーセルというものも世の中には存在する。いくつもの層からできていて、さまざまな波長の光をとらえることができるようになっているものだ。しかし、それは非常に高価なので、宇宙機のような限られた用途にしか使われてこなかった。

このInsolightが行ったのは、ソーラーセル自体を自ら改良しようというのではなく、非常に小さなサイズの高性能セルに、光を集めることで、コストを抑えながら非常に高い効率を実現する技術だ。高性能セルのサイズは、1個あたりせいぜい数ミリ四方だという。

「これはシャワーみたいなものです。すべての水が、小さい穴から落ちていく感じです。床のすべてにまんべんなく水を落とす必要はないのです」と、このスタートアップ企業のCEOであるLaurent Coulot氏はいう。

 

太陽の動きに追従

ただ、この会社の技術はそれだけではない。もうひとつは、同社が特許をとった入射角によらず光を100%とらえることができる技術『マイクロトラッキングシステム』だ。インジェクション成形で作られた透明なプレートは、ミリメーターレベルのレンズの列を備えている。そして太陽の位置に合わせてそのプレートが動くことで、最大限の光を取り込むことができるのだ。

これらはけっして大がかりな装置ではなく、従来のソーラーパネルと同様に設置することができる。この装置の仕組みや動きは、下の動画で見ていただくとわかりやすい。

 

類似したシステムは世界各地で考案されているものの、このスタートアップ企業が開発したシステムは、すぐにでも市場に投入できるレベルのものであることが特徴だという。同社のCTOであるMathieu Sckermann氏は、「すべての部品は簡単に大量生産できるように最初から設計されています」という。

同社の設立者たちは、彼らのソーラーパネルが電力あたりの料金を下げることを確信している。システム自体は、既存の太陽光パネルよりも少し高価になるかもしれないが、「得られる電気の量が増えるので、すぐに帳消しにできるでしょう」と同社のCOOであるFlorian Gerlich氏は話す。

さらに「太陽光パネルの価格は近年急速に下がっていますが、まだ競争力のあるコストで電力を生み出すレベルには達していません。2015年のアメリカの例では、住宅用の太陽光パネルそのものは、取り付けのためにかかる費用の総額の20%以下です。もし太陽光パネルが無料だったとしても、これでは必ず費用のもとがとれるとはいえません。現在、太陽光発電業者のおもな利ざやは補助金ですが、それも減少傾向にあります」ともいっている。

同社では、発電効率を上げ、取り付けを容易にすることで太陽光発電システムを化石エネルギーに対抗できうるものにしたいと願っているという。

太陽光発電は、持続可能エネルギーのひとつの象徴だが、はっきりいって効率はあまりよくない。このシステムは可動部分があるため、その耐久性に不安が残る部分はあるが、太陽光発電の効率を上げる、非常にユニークな手法だ。ひょっとすると標準的な太陽光発電の手法になりえるかもしれない。

 

【参考】

※ An EPFL startup makes residential solar panels twice as efficient – EPFL

【動画】

※ An optical overlayer makes residential solar panels twice as efficient – YouTube