夢とともに消えた1300万ドル クラウドファンディングの「闇」を探る

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Photo via VisualHunt

 

クラウドファンディングサービスの登場により、様々な発明品が日の光を浴びるようになった。

だが同時に、それにまつわるトラブルも発生しているということを説明しなければならない。

クラウドファンディングとは、これから始めるモノや事業などに対してネットユーザーが「投資」をするというものだ。決して「商品の買収」ではないということに気をつける必要がある。そして投資とは、必ずリスクが付きまとう。

『Indiegogo』にしろ『Kickstarter』にしろ、これらは決してショッピングサイトではないということだ。

 

製品が届かない!

「クラウドファンディング失敗の典型例」として、各テクノロジーメディアで大きく取り上げられたものがある。それがKickstarterに出展されていた『Coolest』だ。

 

この記事では参考までに製品動画を掲載するが、間違っても買い求めようと考えてはいけない。このCoolest、資金調達プロジェクトにおいて1300万ドル(約15億円)もの資金を集めたが、出資者全員に製品が行き届かなかったのだ。なぜかと言えば、じつに簡単な話である。資金を回収したあとの量産計画に行き詰まったのだ。

発明品を市場に出そうと思ったら、それを大量生産しなければならない。そのためにはまず生産工場を選定する必要がある。手頃な人件費でありながら、丁寧な作業をしてくれるところが一番いい。スムーズな物流が可能か否かということも考えなければならない。おそらくそこは新興国の工場になるだろうから、現地でビジネスをする上での法律対策も検討するべきだ。

こんなことを言うと製造関連のビジネスマンから「当たり前だろう!」と突っ込まれそうだが、クラウドファンディング出展者はそうしたことをしばしば省略してしまうのだ。

 

製品保証はあるのか?

クラウドファンディングサイトでの資金調達成功の鍵は、PR動画である。

ネットユーザーはまず動画を見るから、その仕上がり如何がプロジェクトの行方を左右する。映像クリエイターは大忙しだ。

だがその分、工場所在地の国の法律顧問を雇うといったことは蔑ろにされがちである。大手製造メーカーでは決してあり得ないミスだが、「数人の素人が万単位の製品を量産する」というのがクラウドファンディングの世界だ。リスクが発生するのは当然と言えよう。

また、新製品に対する感覚や概念が国により大きく異なるという点も注意が必要だ。

筆者もたびたび記事にしているが、クラウドファンディング界隈では「新しい乗り物」が頻繁に出展されている。それらがカタログスペック通りに動作すれば、確かに生活は便利になるだろう。

だが、我が国日本では「製品保証」というものに厳しい目を向けがちだ。自転車を例に挙げると、BAAやSG、JISなどの安全マークが貼られているか否かが重要視される。

これらが車体のどこにもない自転車は、敢えて極端な言い方をすれば「実験車両」である。消費者はいつの間にか、ベンチャー企業が開発した製品のテストをさせられているのだ。

 

利用は自己責任

もちろん、「消費者が企業の製品テストに参加できる」という見方をすれば、それは決して悪いことではない。実際に、そのような過程を経て洗練されていくものもある。

そういうこともあり、オンライン決済サービスも消費者保護制度からクラウドファンディングを除外しつつある。去年6月、PayPalが「クラウドファンディングは保護の対象外」ということを明確化した。「利用は自己責任でやってください」ということだ。

これを根拠にクラウドファンディングの有用性を否定する、というわけではない。ただし、その有用性には投機的な部分が大いにあるということをこの記事で言及しておかなければならない。

【参考・動画】

※ Coolest Cooler for the 21st Century – YouTube