雪が降る亜熱帯の島のペンギン御殿

トロピカルなリゾート地

みなさんは、カナリア諸島を御存じだろうか。スペイン領ながらアフリカ本土まで、約100キロの大西洋上に浮かぶ7つの島々から成り、年間平均気温が23度から25度と温暖なリゾート地として知られる。最近、サッカーの柴崎岳選手が入団したチームを擁するテネリフェ島も、この諸島のひとつだ。

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これら島々の中で、最も面積が広いのがテネリフェ島である。島には数多くの観光スポットがあるが、訪問客の動員数が高いのは、動物園と遊園地、そして巨大プールが併設されたアミューズメント・パークだ。島の首都・サンタ・クルスにあるLoro Park「ロロ・パーク」はその代表格で、世界でも珍しいといわれる特殊なペンギンの飼育施設があり、呼び物のひとつになっている。

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キャッチ・フレーズは、「もっとも暑い場所に住むペンギンたち」

日本でいうなら、ペンギン御殿とでも呼ばれるであろうこの施設は、単にペンギンを集めて展示するために作られたのではない。たとえば、施設の中心には、ペンギンが泳ぐ様子を至近距離からじっくり観察できるよう、巨大な円形水槽が用いられている。水槽の内部は、各種ペンギンたちが生息する自然環境が忠実に再現されており、気温はもちろんのこと、湿度や日照時間、ときおり吹きすさぶ風まで、人工といえども自然さながらの環境が整っているさまは圧巻だ。

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南の島に降る雪?

この飼育施設をもっともユニークにしているのが、降雪マシンである。パーク特注のこのマシンを駆使しつつ、ペンギンたちの頭上から新鮮な雪を毎日降らせているのだ。詳細情報はあくまでも企業秘密ということだが、雪の原料となる氷には浄化した海水が使われているという。マシンにかけられ切り刻まれた氷に空気を混入すると雪になり、毎日約1トンほどの雪が生産されているという。

地理的に見ればアフリカ北部に近いこの島で、本物の雪にお目にかかれるのはこの飼育施設のみとあって、国内外から多くの観光客が訪れる。特に、テネリフェ島をはじめとするカナリア諸島の地元民たちは、生まれてこのかた雪など見たことがないため、ペンギンたちに降り注ぐ雪に驚愕するという。

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ちなみにパークでは、南アメリカのチリやペルー沿岸に生息するするフンボルト・ペンギンも飼育している。ペンギンの生息地は寒冷地帯といった定番イメージを覆すべく、彼らは温暖で乾燥した地域に生息しており、寒冷地に生息するペンギンたちとは対照的に南米の自然が再現された施設で飼育されており、各ペンギンの生態の違いがよくわかるよう展示されているのも興味深い。

生息地の自然を人工降雪によりさらにリアルに再現した「ペンギン御殿」。アフリカにもっとも近い北極圏、と謳われるキャッチフレーズはまさにその通りで、たとえ雪に慣れた人であっても、思わず息をのむほどのスペクタクルを体験できることは間違いないだろう。(カオル イナバ)

 

【参考】

Loro Parque Tenerife – Attraction Park