オートパイロット戦線に先鞭! GPSなしでも自分で飛ぶ国産ドローン登場【国際ドローン展】

撮影:平塚直樹

様々なドローン機体や新サービスが発表された産業用ドローンの展示会「第3回 国際ドローン展2017」が、4月19日〜4月21日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催。

今回は、特に自律(自動)飛行を可能とする機体の展示が目立ったが、中でも注目だったのが「PF1-INSPECTION」。自律制御システム研究所(以下ACSL)が開発したこのモデルは、多くの自律飛行型ドローンがGPS情報を活用する中、GPSが届かない場所でも自動で飛ばせる機能を搭載。しかも100%国産という注目のモデル。展示会でも、かなり話題になっていたので紹介しよう。

 

自律飛行の必要性

まず、モデル紹介の前に、少しだけドローンの自律飛行がなぜ求められているかを紹介しよう。

産業用ドローンは、点検や測量、災害救助に農業など、様々な分野での活用が期待されているのはご存じの通り。だが、課題のひとつにパイロットの不足がある。

天候などにより墜落の危険もあるドローンの場合、熟練した操縦テクニックや経験を持つパイロットが必要不可欠なのだ。

だが、急速に伸びる需要に、パイロットの供給が追いついていないのが現状。また、災害時などでは、そもそもパイロットが現場に行けない場所さえある。そのため、自律飛行できるドローンの必要性はかなり高まっているのだが、一方でどうしても自律飛行できない場所もある。

多くの自律飛行式ドローンは、前述の通り、衛星からのGPS情報を受信し、搭載するCPUが機体の位置情報を把握しながら自動で飛行する。

だが、例えば橋梁の点検などでは、GPSが届かない場所もあるため、安全で確実な自律飛行が従来はできなかった。

今回、発表された「PF1-INSPECTION」は、その課題を解決。GPSが届かない環境下でも、自律飛行を可能としているのだ。

 

拡張性が高い機体

機体のベースになっているのは、ACSLが開発した「PF1」というモデル。全長1,120mmの機体にはカーボンパーツを多用し軽量化。最高速度30m/s、有線給電による100時間連続駆動にも耐えられる耐久性も実現する。

撮影:平塚直樹

カメラを固定するジンバルを付ければ点検などに、キャッチャーを付ければ物流などに使用可能。拡張性の高さも魅力で、今回の「PF1-INSPECTION」は、その点検バージョンだ。

撮影:平塚直樹

 

赤外線センサーが目

このモデルがGPSの位置情報なしで自律飛行ができるヒミツは、赤外線センサーの採用だ。

機体上部に上方用と水平方向用の2つのセンサーを搭載し、そこから赤外線レーザーを出すことで建物や障害物などを検知。ドローンがそれらに一定距離まで近づくと、自動で回避し衝突をさけるのだ。

撮影:平塚直樹

つまり、非GPS環境下では、これらセンサーが「ドローンの目」となるということ。独自のアルゴリズムを導入したオートパイロット機能との組み合わせにより、それを可能としている。

 

まさにロボット

ちなみに、搭載するオートパイロット機能は、新開発のOSやCPUを採用した新システム。このドローンは、屋外の遮蔽物などがない場所では他モデル同様にGPS情報による飛行もでき、その際もプロペラの回転数や機体姿勢などをこのシステムが最適に制御する。

飛行時の情報収集方式の多元化、それらを基に最適な制御をするシステムなどを持つ……そう考えると、このモデルはまるで「空飛ぶロボット」だ。自力で幅広い空域を飛び回るロボットは、もうSFなど“空想のもの”でなく、“現実のもの”になっているのだ。

 

下水管点検用ドローンも開発中

ACSLでは、他にも開発中の下水管点検用ドローンを参考出品。

撮影:平塚直樹

日本の下水管の場合は、直径が400mm以上のものと200mmのものがあり、今回展示したのは400mmに対応したモデル。より小型の200mm管対応モデルも今後開発するという。

このドローンの実際の運用イメージは、マンホールの穴からドローンを投入し、管内に破損箇所などがないか、搭載カメラでチェックするというもの。

飛行はパイロットによる操縦のほか、やはり自律飛行も視野にいれて開発中。下水管の場合もGPSが届かないことが想定できるため、はやり赤外線センサーなどの技術が投入されることが予想される。

 

 国産が世界に通用する日

最後に、特筆すべき点がもうひとつ。ACSL製ドローンは、日本で開発され、使用するパーツも国産の「純日本製」ということだ。

現在のドローン市場では、まだDJI社など海外製モデルのシェアが圧倒的。国産ドローンが、例えば自動車のように世界市場で受け入れられるかどうかも、今後のドローン発展のカギになる。

撮影:平塚直樹

そういう意味でも、こういった高性能モデルが出てきたことは、国産ドローンが世界へ羽ばたく一歩になるといえるだろう。

ドローンの市場規模は、2020年までに国内だけでも1,400億円、世界規模では2兆円を超えるといわれている。もちろん、その後もIoTの潮流のひとつとして、世界的に市場は右肩上がりになることは間違いない。

これら国産ドローンの動向に、今後も注目したい。

 

【画像】

株式会社自律制御システム研究所 – 第3回 国際ドローン展2017 (撮影:平塚直樹)