既に活発化している国内のクラウドファンディング事情については、本サイトでも以下の記事「国内クラウドファンディング業界は「群雄割拠」市場規模が拡大」で紹介された。
今回は海外の状況に触れていってみよう。
米マス・ソリューション(massolution)社によれば、全世界でのクラウドファンディングの資金調達規模は2011年で約14億ドルだったのが、2012年には約27億ドルへと約倍増した。
その地域別内訳は、北米が約16億600万ドル、欧州が約9億4,500万ドル、オセアニアが約7,600万ドルで、アジアが約3,300万ドルだという。
しかしこの数字では最も規模が小さなアジア諸国では、日本も含め、次々とクラウドファンディングのプラットフォームが立ち上げられているため、上記数字は既に大幅に書き換えられているだろう。
それでは、海外のクラウドファンディングの中で、特に話題になっている(と私が独断した)一部の例について、見ていきたい。
海外のクラウドファンディング例
米国で最も有名なクラウドファンディングだ。出資対象も多岐にわたっており、開発、デザイン、ファッション、映像など幅広い。
3月に公表されたKickstarterで受け付けた資金の総額は、9億9,920万9,752ドルと、すぐにでも(おそらく既に)10億ドルの大台に乗るであろう。
GoFoudMeは、プロジェクトでは無く、個人への寄付を特徴としている。従ってその用途は医療費や学費、旅費などが主なものだ。
例えば交通事故に遭ったが保険に入っていなかった人や、失業して部屋代が払えなくなった人、変わった旅行を企画したが資金が無い人などに対して資金を提供することができる。
IndieGoGoは前述のKickstarterと並ぶ米国の2大クラウドファンディングサービスとして有名だ。ただし、Kickstarterに比べて地域的な制約や資金提供対象の範囲が緩いことが特徴だ。
例えばKickstarterでは難しい個人的な趣味やイベントの実現、チャリティーなどでもIndieGoGoであれば可能だ。
Spot.usの特徴は、市民やジャーナリストが記事のアイディアを提案し、それに対して人々が出資し、資金が集まればプロのジャーナリストが記事を作成してメディアに掲載するという仕組みだ。
既に協力関係にあるメディアは200を超えている。参加者も6月現在で50,000人を超えた。一人のアイディアがメディアで取り扱われるという、地域とメディアを繋ぐ新しい仕組みと言える。
RocketHubは世界中のクリエイターが利用できるクラウドファンディングサービスだ。そのため、日本でも人気がある。
プロジェクトを一流ブランドや企業の担当者が監修するサービスがあるため、より大きなチャンスを与えられる可能性もある。
Crowdcubeは2011年2月にイギリスで誕生した投資型のクラウドファンディングサービスだ。特にベンチャー企業のスタートアップ資金を調達することに利用される。
投資する側も最小10ポンド(約1,400円)と少額から出資できるので、気軽に出資できる。
これまで紹介したクラウドファンディングサービスとは異なり、内輪の小さなイベントの為に資金調達できるように、ハードルが低いことがCrowdtiltの特徴だ。
FacebookやTwitterを利用して資金を集めることができ、ちょっとしたプロジェクトに利用しやすい。例えば有人への贈り物やパーティーを開く為に資金を集めたいといったことだ。
Pozibleは2010年から運営されているオーストラリア発のクラウドファンディングサービスだ。決済方法に有名な仮想通貨のBitcoinを使用することもできる。
主にアートや映画といったクリエイティブ系への資金提供をサポートしている。
投資や起業の形や意識を変えていくクラウドファンディング
クラウドファンディングには「購入型」「寄付型」「融資型」などがあるが、今後注目されるのは「投資型」であろう。
米国では2012年にJOBS ACT(JOBS法、雇用創出法)が成立したことで、起業家向けクラウドファンディングが盛んになることが間違いない。
また、日本でも5月にはクラウドファンディング投資を活発にする金融商品取引法の改正が成立している。個人の貯金が企業の活動に利用されることを促すためだ。
クラウドファンディングによって、個人が気軽に起業家の誕生と成長を支援できる仕組みが広がり、起業家にとっては資金調達という敷居がどんどん低くなっていくことだろう。