温もりや感触が味わえる「ロボット義手」用人工皮膚

「感覚」を脳に伝えるセンサーを内蔵

ところが、課題もある。それは「感覚がない」ことだ。

現在開発されているロボット義手では、いわゆる皮膚がないため、熱さや寒さ、人や物を触った感触などを装着した人が感じることができない。

そこで、今回発表された「スマート」人工皮膚。伸縮性があるシリコン・ナノリボンという素材を使い、圧力・温度・湿度センサーが埋め込まれているのが特徴。神経刺激用電極や自らの体温を擬似的に出すための電気抵抗ヒーターなども内臓されている。

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この人工皮膚をロボット義手に被せて各センサーを脳に繋げば、装着した人は「普通の手」と同じように感覚を持つことが可能。熱さや寒さはもちろん、水分で湿った感じやすべすべした感覚、愛する人を抱擁した時に感じる温もりなど、様々な「感覚」を得ることができる。

開発したのは、ソウル大学・生物工学部のキム・デヒョン教授(37歳)が率いる研究チーム。同チームは、現在マウスでの実験に成功。今後は、さらに大型の動物での実験を行い、人間への実用化を目指している。

古い話で恐縮だが、1970年代にアメリカのテレビドラマで「バイオニック・ジェミー」というSF番組があった。事故で大怪我を負った美人主人公のジェミーは、右腕や両足などを失う。そこで、見た目は普通で感覚もあるが(だったと思う)、中見は機械という義手などでサイボーグ化して復活。怪力や俊足で悪をやっつける…といった内容だった。

「スマート」人工皮膚とロボット義手のコンビネーションは、装着者を「怪力」にするかどうかは別として、不幸にして腕などを失った人たちにとっては希望の光となるやもしれない。

さらなる進化や実用化に期待したい。

*参考:Smarter Artificial Skin for Prosthetic Hands | MIT Technology Review

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