子どもの未来を食らう魔女 「負のイノベーション」と対峙する

新しい小銃

トゥーラ造兵廠の技術要員となったカラシニコフは、天性の機械設計センスと戦場での苦悩を材料に革新的なアイデアを生み出す。

文盲の兵士でも使用できる、すなわちマニュアルなど必要としない銃を作ろう。

大戦当時のソ連軍兵士は文字の読み書きはおろか、共通言語であるはずのロシア語すら話せない者も多くいた。にもかかわらず銃というのは、早い話が機械である。機械は多少なりとも複雑な作りのものだ。それを使いこなすにはマニュアルがいる。

兵士にマニュアルを読ませることなど不可能だ。その事情を骨の髄まで知っているカラシニコフは、小銃の構造を単純化するというアイデアを打ち出した。

部品を極力ユニット化し、総数を少なくする。そうすれば機械特有の複雑さから起こるトラブルもなくなるはずだ。故障もなく、分解結合が簡単な銃ならばマニュアルを作る必要はない。世界兵器史上、こんなことを考えたのはカラシニコフが初めてである。

そうして完成した連射式小銃は、のちにソビエト当局から『AK47』という名称が与えられた。

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