気候変動問題のカギを握る「悪名高き」巨大企業は生まれ変わるのか

APPが抱えた問題

APPはインドネシア屈指の財閥シナルマス・グループ(Sinar Mas)の中核企業だ。同グループは1960年代の創業以来、製紙業、並びに食品加工業を中心にインドネシアを代表する企業群へと成長した。

インドネシア国内に豊富にある森林を伐採し、紙を作り、伐採跡地には石鹸やパーム油の原料生産のためアブラヤシ・プランテーションを造営。世界的需要が爆発する80年代には一気に事業規模を拡大し、世界中にその製品は輸出された。

日本も関わりは深く、日本で使用されるコピー用紙の4枚に1枚は同社の製品だという。また、スナック菓子の原材料として、マーガリンや食用油でも大きなシェアをもつ。

だが、その事業拡大のなかで行われてきた大規模な自然環境破壊は非常に深刻な問題を生んだ。過去30年間にわたり、毎時東京ドーム約1.8個分を伐採するという恐ろしいスピードと規模で森林を破壊し、ついにはインドネシアの自然林は30年前の半分にまで減少してしまう。

また、熱帯雨林が形成される土壌の特質である泥炭には、多くの二酸化炭素が含まれている。木を伐採しアブラヤシを植えるためには、この泥炭層から水を抜き、表面を乾燥させなければいけない。そのために大規模な焼き畑が行われ、泥炭内の二酸化炭素は大量に放出される。

この泥炭からの排出量を含めると、インドネシアは中国、アメリカに次いで、世界第3位の二酸化炭素排出国家となるという。

もちろんこの焼き畑では膨大な噴煙も発生させており、隣国マレーシアやシンガポールに深刻なダメージを与えている。

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