再生可能エネルギーを「水素」に転換すると何がいいのか?

輸送や貯蔵が可能な水素エネルギー

具体的な発表はなされていないが、水素の可搬性に着目した研究であることはリリースにも示されており、電気を利用して水素を発生させ、これらを輸送、貯蔵し、利用する技術の研究開発を行うというものと解釈できる。

エネルギーを貯蔵すると考える場合、電気であればバッテリーに蓄えることはできるが、その電気は使わなければ時間の経過と共に自然と放電してしまう。水素の場合は高圧で圧縮すれば液化し、相応の強度を持ったタンクなどで貯蔵、輸送することができる。乱暴ないい方をすれば、水素は一度タンクに貯蔵されれば、消費されない限りはその中に存在し続け、備蓄も可能となるのである。

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そもそも水素は元素としては宇宙で一番たくさんあるはずのものなのだが、原子としての水素は不安定であるために安定を求めて他の元素とくっつきたがる性質を持つ。一番わかりやすい例は水(H2O)だ。そして油も端的に言ってしまえば炭化水素であり、炭素と水素が複雑に絡み合ってできている。

燃焼を、これまた乱暴な言い方をすると、熱と酸素により炭化水素を分解し、その作用で熱エネルギーが発生する。燃焼が副産物として水と二酸化炭素を発生させるのはこのためだ。つまり、水素が含まれる安定した物質から水素を取り出すのは、それ相応のエネルギーが必要なのである。

貯蔵しにくい電気を使って貯蔵しやすい水素を作る。そこに多少のエネルギー損失があるとしても、エネルギーを貯めておけることは重要だ。また可搬性にしても、電気を送電線で送れば距離に応じて損失が出る。

電圧を上げれば損失を軽減することはできるのだが、だからこそ長距離の、たとえば新潟県柏崎の原子力発電所から東京までの送電線は50万ボルトなどという特別高圧、超高圧の電圧で送電する。これが北海道から風力発電の電気を東京に送ろうなどと考えた場合、単純に距離を乗ずれば200万ボルトは必要で、これだけの超高圧になれば直流送電であろうと周囲の電磁波被害なども念頭に入れなくてはならない。電気は地産地消なものなのだ。

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水素でエネルギーを運ぶとすれば充填されたタンクの送料のみであり、少なくとも電磁波などが発生するような超高電圧な送電線設備に莫大な費用はかからない。製造や充填などの取り扱いに気を使う必要はあるが、トヨタ『MIRAI』にみられる燃料電池自動車(FCV)も市販される時代であるので、タンクの安全性は充分に確保されているはずだ。

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