水素社会実現に向けて、日本の技術が集結

水素利用の最大の課題は“製造”か

将来のエネルギー源として、水素は唯一の絶対的な解答ではない。いや、むしろ水素はエネルギー源ですらない。なぜなら水素燃料を作るためには、けっこうなエネルギーを消費するからだ。水素に大きく期待されているのは、じっさいはエネルギー源そのものとしてではなく、太陽光や風力などによって作られた電力等のエネルギーを貯蔵、運搬する機能だといったほうがいいかもしれない。

自然エネルギーによる発電は、日照や天候に大きく左右され、供給が安定しないものが多い。しかし、電力の貯蔵は現在の技術では困難だ。そこで、余剰電力を使って水素燃料を作り、水素燃料という形で電力を貯蔵し、安定供給できるようにしようというものだ。水素燃料なら貯蔵は容易で、運搬もしやすい。

水素の活用には大きく分けて3つの段階がある。水素燃料の“製造”。水素燃料の“貯蔵・輸送”。そして水素燃料の“利用”だ。貯蔵、輸送に関しては、インフラの整備はともかく、上にも書いたとおり高圧タンクを使えば技術的には比較的容易だ。問題なのは“製造”と“利用”だ。

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“利用”に関しては、少しずつ進んでいる。2009年には、水素を反応させて電力を作り出す家庭用燃料電池が発売され、昨年末には量産燃料電池車(FCV)であるトヨタ『MIRAI』が発売された。FCVはホンダや日産なども開発を進めている。

現在、水素燃料はおもに天然ガスから作られている。つまりサステイナブル・エネルギーではない。そしてその製造工程において温室効果ガスを排出している。したがって現時点のFCVは、それほど“エコ”といえるシロモノではない。

しかし、将来的に水素燃料は、太陽光やバイオマスなどによって作ることを目指している。そうすればサステイナブルなエネルギーになる。そのときに水素燃料を有効に利用するためには、燃料電池のような技術を確立させておく必要がある。そのために現状では“エコ”でないFCVにもじゅうぶん存在意義があるわけだ。

そして、上にも書いたとおり、現在、水素によるサステイナブルな社会を実現するためには“製造”が最大の課題だといえるだろう。自然エネルギーを使って水素燃料を製造する技術の確立だ。

 

東芝が水素ソリューション開発を促進

今月に入って、東芝が府中事業所内に『水素エネルギー研究開発センター』を開所することを発表した。東芝グループは、再生可能エネルギーによる発電システム、水電解装置、燃料電池など、グループ内の水素関連技術を融合させて水素ソリューションの開発を進めていくという。その取り組みの一環として同センターを開所したのだ。

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より具体的な計画もある。本年度以降、離島・遠隔地など発電コストが高い地域向けに再生可能エネルギーから水素を生成して再び電力として利用する“地産地消型”エネルギー供給システムを実用化し、そういった地域における電力の低コスト化や安定供給を目指して行くという。また、2025年をメドに、海外での大規模風力発電などによって安価に生成した水素を国内に輸送して、水素ガスタービン発電所で発電を行う水素サプライチェーンの構築も計画しているという。

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