日本最大級の太陽光発電所からみる「エネルギーの将来」

雪国ならではのパネル設置の工夫とは

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画像:使用されている東芝製の単結晶パネル

 

安平町に建設中のソフトバンク苫東安平ソーラーパークを訪れた。ソーラーパネルの供給と施工を担当するのは東芝だ。これまで東芝グループとして300ヶ所以上の太陽光発電システムの建設を手がけてきた同社だが、166haもの広大な土地、しかも北海道という寒冷地での建設は新たなチャレンジとなった。

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画像:パネルの角度は30度。架台の高さも通常より高くしている

 

まず、設置するパネルの角度。通常の太陽光発電所であれば、一番太陽光を受けやすい角度、10度ほどで設置する。しかし、積雪の恐れがある北海道ではパネル上に雪が積もってしまうため、ここでは30度で設置。また、架台の高さも積雪を考慮し地面からパネルの下辺までを1mと高くしている。

また、作業面でも従来とは違う部分があるようだ。

広大な敷地での作業ということで、現場の管理には細心の注意を払っています。ピーク時には450人の作業員がいるため、管理者を30人ほど配置しています

こう語るのは施工を担当する、東芝の電力流通システム事業部フィールド・建設技術部太陽光発電システム担当の福本章氏だ。

泥炭地ということで地盤が軟弱なため、地盤を改良して強度を高めています。また、通常より杭を長くして、その周りをコンクリートで固めるといった工夫もしています

とも福本氏は説明した。

また、1月から3月中旬までは休工期間にするなど、積雪地域ならではの施工管理を実践しているそうだ。

実際に建設中の敷地内を案内してもらったが、あまりにも広く全貌をつかむことが難しい。この全体の施工管理をするというのは予想以上に苦労するだろう。

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画像:建設中の敷地内。どこまでもソーラーパネルが並ぶ様子は壮観

 

取材に訪れた3月下旬の時点で、すでに約35万枚のパネルの取り付けが完了。パネルのユニットごとにシリアルナンバーがあり、それをiPadで管理している。一方でまだ基礎工事をしている工区もあった。

工事自体は順調に進んでおり、このままいけば2015年6月には北海道電力との系統連系が始まり、送電テストを開始。12月には正式稼働となる予定だ。

 

太陽光発電所と地域との関係性

太陽光発電所の建設は、技術的な問題ももちろんだが、地域との関係性を築くことも重要なポイントだ。SBエナジーは、太陽光発電所の建設地域に対して、環境教育を提供することで地域貢献をしている。安平町では、地元の小学校にiPadを使って“未来のエネルギーを見つけよう”というテーマで授業を展開。これが地元の子どもたちにも大好評のようだ。

浅野氏は説明する。

ただ単に太陽光発電の仕組みを学ぶ普通の知識教育ではなく、子どもたちが主体的に創造的に未来のエネルギーを考えるプログラムになっています。子どもたちに身近なものから未来のエネルギーになりうるものを、五感で感じて見つけたものの写真をiPadで撮ってきてもらうのですが、人の笑顔や靴の臭いといったものが出てきて(笑)。ただ、我々が子どものころは太陽光や風などの身近なものからの発電がこれほど普及するなんて考えもしなかった。だから、いま子どもたちが身近なものでエネルギーになると考えたものは将来実現する可能性が多分にあると思っています

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画像:北海道安平町立早来小学校での環境教育の様子(提供:SBエナジー)

 

この授業は2014年度に2回行われ、すでに2015年度も決定している。

安平町もこのソーラーパークには大きな期待を寄せる。安平町のまちづくり推進課主幹、渡邉匡人氏はこう語る。

契約期間は20年。SBエナジーと長い付き合いになりますので、安平町としても連携しながらいろいろやっていきたいと考えています。環境教育はもちろんですが、観光資源としても活用していきたい。安平町には4つの地域がありますが、その主要な観光スポットとして組み込ませていただいて。完成後には見学会などもできるようにしたいなと思っています。そこで、地元の人が説明員として働けるようになれば、地域の雇用活性化にもなります

現在、安平町の各所に道の駅を建設する計画(追分地区)があり、遠浅地区の観光回遊資源に『ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク』も観光スポットの1つとしてその計画に含まれている。問題は、広大な敷地を一望できるスポットを探すこと。これも安平町とSBエナジーが協力して考えていくことになるだろう。ソーラーパークが完成してからも、両者の良好な関係性は続いていくはずだ。

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