喘息発作の仕組みが解明!? 治療には骨粗鬆症の薬が効果を発揮

カルシウム受容体がカギだった

カーディフ大学の研究者が、キングスカレッジロンドン、メイヨークリニック(米)の科学者と共同で行った研究にもとづいた論文を『Science Translational Medicine』誌に発表した。それによれば、カルシウム感知受容体が喘息を引き起こす、これまで知られていなかった役割がわかったという。

その論文は、あわせてカルシリティック(カルシウム感知受容体に作用する化合物)を使った既存の薬が、気道狭窄や気道過敏、気道の炎症によって起こる呼吸困難(つまり喘息の症状)の治療に効果的だということも強調している。

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この発見は、信じられないほどすばらしいものです。私たちは、アレルギー性喘息において、アレルゲンやたばこの煙や排気ガスによって起こる気道の炎症と、気道の過敏性を結びつけるものをはじめて発見したのです

とダニエラ・リカルディ教授は語る。

私たちの論文は、どのようにしてそれらのアレルギーの原因が、気道の組織上でカルシウム感知受容体を活性化させる化学物質を放出し、喘息の諸症状を引き起こすのかを説明しています。またカルシリティック薬を直接呼吸器系に噴霧することで、カルシウム感知受容体を不活性化させて、喘息の諸症状を防ぐことができることも説明しています

 

骨粗鬆症の薬が転用できるかも

この研究に協力している英国喘息協会(Asthma UK)のサマンサ・ウォーカー医師はこう説明する。

この研究が成功すれば、数年のうちには喘息の新しい治療法ができるでしょう。私たちは臨床試験を行うために、急いで資金を集めないといけません。これまで喘息の研究は慢性的に資金不足でした。そのため、この50年間でわずかな新しい治療法しか開発されてきませんでした。このような研究の成功のためには、資金調達も重要なのです

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喘息は、投薬などによってうまくコントロールできている患者もいるが、現在の治療法が効果を示さない患者も約12人にひとり程度いるという。この研究に基づいた治療法は、そういった一部の深刻な喘息患者への効果が大いに期待できる。

リカルディ教授らは現在、耐ステロイド性の喘息やインフルエンザが悪化した喘息など、特に対処が困難な喘息のためのカルシリティック薬の開発のための資金を集めている。

カルシリティック薬は、約15年前に骨粗鬆症の治療のために開発されたもので、カルシウム感知受容体にアナボリックホルモンの分泌をうながすことで骨を強くする作用があるとされた。ところが、臨床的に安全ではあるが、骨粗鬆症の治療法としてあまり成功したとはいえないという。

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しかし、今回の喘息治療の研究は、別の目的とはいえ、すでに存在するこのカルシリティック薬が使えるというメリットがある。研究グループは資金が集まれば、この薬を喘息患者に使う試験を2年以内に行うことを目指している。そして、安全性が証明されれば、5年以内に治療法として確立できる見込みがあるのだそうだ。

また、このカルシウム感知受容体の研究は、喘息にとどまらず、ほかの呼吸器系の炎症性疾患の治療法の確立にも期待できるという。現在効果的な治療法がない慢性閉塞性肺疾患(COPD)や、慢性気管支炎などだ。

筆者が小学校高学年のころからは、吸入式の薬ですぐに喘息の発作が治まるようになったが、それまではロクに効かない錠剤しか処方されず、本当につらい思いをした。この新しい治療法がすべての喘息患者に効果的なものになることを願いたい。

 

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【参考・画像】

※ Cardiff University

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