ブーム再燃か?軽オープンスポーツカー ホンダS660人気の理由

画一化した乗用車

日本車はふと見渡せば、5ドアの乗用車ばかりとなっている。軽自動車からコンパクトカー、ミニバンに至るまで、ほとんどの乗用車が後部ドアとリアハッチバックを持つ5ドアのフロントエンジン、フロントドライブ(FF)だ。大きさやデザイン、定員は多少異なれど、まさに大同小異。いくら便利、コスパ最強といえど、40代・50代にとって、憧れはいつの時代もスポーツカー。子供が成長して自由な時間が得られるようになった今、セカンドカーとして維持費が安い軽自動車のスポーツカーに熱いまなざしが注がれるのも当然の成り行きだ。

 

ビート以来!ホンダの軽ミッドシップオープン S660

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1991年に登場したビートは名車の呼び声が高い。当時オールアルミボディを世界に先駆けて実現したNSXを開発したホンダが、精魂こめて作った軽自動車がビートだからだ。ノンターボながら3連スロットルボディを装着するなど高回転化技術をつぎこみ、軽自動車の自主規制上限となる64馬力を達成。アクセルペダルに呼応して敏感に反応する後輪は人々のハートを震わせた。

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その実質的な後継となるのが4月にデビューしたS660である。ホンダのSシリーズの系譜は古く、S500/600/800まで遡り、これも後輪駆動で高回転・高出力エンジンを搭載したオープン・クーペモデルだ。

 

背高軽自動車とは一線を画す走り

S660はエンジンをN-WGN、N-BOX、N-ONEといったホンダNシリーズと共用するがターボを小型化し高レスポンスを実現、それをミッドシップに搭載し後輪を駆動するMRである。重心は低く、フロントが軽いために俊敏な身のこなしが可能で、重心が高くユラユラしがちな背高軽自動車とは次元が違うコーナリングを見せつける。

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またこの高性能を安全で裏打ちするために、4輪ディスクブレーキの採用、ハイグリップタイヤ、アドバンネオバの極太サイズを標準装備する。

現代車らしくスピンを抑制する車両安定装置、VSAが装備されるがさらに俊敏さを演出するためのギミック、アジャイル・ハンドリング・アシストを軽自動車として初めて装備し、コーナリング時前輪の内側にブレーキを少しだけかけて、曲がりにくいアンダーステアを解消する。これらの電子制御のおかげで、どんな技量のドライバーでも、ミニバンや背高軽自動車から乗り換えたとしても違和感なく、安全に速く走ることができる。

その技術力の高さに、さすがF1に復帰したホンダだけのことはある、と唸らされることだろう。

 

爽快なオープンエアー

忘れてはならないのは、このS660がオープンカーであるということだ。ルーフはあの名門ロータス社のエリーゼと同じ仕組みのロールトップを採用。脱着には毎回シートから降り、数分かけて行う必要がある。

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電動や片手で開閉できるオープンカーがある現代ではあるが、古き良きスポーツカーに乗るための儀式、と考え手間というよりもこれを愉しみにするのが正解だ。

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巻き取ったロールトップはフロントボンネット内にある小さなトランクにピッタリ収納することができる。ただし収納した場合、トランクはロールトップで一杯になるために手荷物は入れられなくなることを覚えておく必要があるだろう。

 

シンプルなオーディオと用意されないビルトインナビ

センターコンソールは非常にシンプルだ。エアコンを操作するボタンが配置されるだけで、最近流行りの大型ディスプレイは埋め込まれていない。internavi POCKET連携対応したセンターディスプレイ(写真)は全車オプション装備、Gメーターやオーディオの表示の他HDMI入力が可能なディスプレイだ。標準でこれは装備されないが、逆にデザインとしてはすっきりした印象となる。

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このディスプレイ、マルチメディアインターフェースに慣れた我々にとっていささかシンプルすぎるように感じるが、実は逆に注目に値する。というのもスマホに慣れた我々にとって、自動車に装備されるマルチメディアインターフェースは往々にしてオールドファッションかつ、プロプライエタリーなインターフェースで決して使いやすいとは言えないからだ。

その理由の一つに、クルマの買い換えサイクルと、スマホの買い換えサイクルのミスマッチがある。クルマは買ってから通常5年、気に入れば10年使うこともあるだろう。また最近はモデルチェンジサイクルが再び長くなっており、こういったスポーツカーは10年近く生産することも珍しくない。

その場合ビルトインのオーディオナビは大幅に刷新されることは稀だ。ホンダS2000の場合10年近く生産されたが、ビルトインナビは最後まで初期のDVDナビのまま、通信ナビの草分け的存在となるホンダ・インターナビは装備されなかった。また日産GT-Rも毎年改良が施されるものの、デビューから7年以上経過したオーディオ・ナビについては手つかずのままだという。

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